猫の「そっけない」視線が自閉症の子供にとっては大親友の条件だった

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自閉症の子供は、犬より猫と強い絆を結びます。

この興味深い事実は、多くの研究で報告されてきたものの、これまでその原因は不明でした。

しかし9月4日に学術雑誌「Frontiers in Psychology」に掲載された論文では、彼らの強い絆には、犬と猫の視線の質に原因があるとのこと。

犬の「熱心」な視線よりも、猫の「そっけない」視線のほうが自閉症の子供には好ましかったようなのです。

しかし、どうして視線の質の違いが決定的な差になったのでしょうか?

自閉症の子供は猫に特殊な視線を送る

自閉症の子供はアイコンタクトは苦手だが猫に沢山の視線を送っていた/Credit:depositphotos

これまでの研究により、自閉症の子供は犬より猫と絆を結ぶことが報告されています。

しかしその科学的な原因は永らく不明でした。

そこでフランス、ノルマンディー大学の研究者たちは、ペットを飼っている6~12歳の子供の家で撮影を行い、自閉症の子供と普通の子供のペットとの関わり合いを分析しました。

結果、自閉症の子供は、犬よりも猫のほうに遥かに多い視覚的注意を向けていたことが判明します。

自閉症の子供はアイコンタクトが苦手とされてきましたが、同じようにアイコンタクトを苦手とする猫に対しては、短い視線を数多く送っていたのです。

このことは、自閉症の子供は長い視線でつながりを作ることを望んでいないものの、短い視線を通した特殊なつながりを猫との間に作っていたことを意味します。

猫は社会性を求めない

猫は社会性で飼い主を好きになるのではない/Credit:depositphotos

今回の結果について、研究者たちは犬と猫の視線の質の差に原因があるとしています。

社会的動物である犬は、人間の目を凝視して、積極的なアイコンタクトを試みてきます。

しかし自閉症の子供にとって、この犬の視線は威圧的にとらえられる可能性があるのです。

一方で、猫は違います。

単独で暮らす傾向がある猫が人間に求めるのは社会的な関係ではなく、親子の情に近いものであり、人間に対する視線も一般的にはアイコンタクト未満の、ごく短いものになります。

研究者たちは、この短く社会性を求めない視線が自閉症の子供にとって好ましく、結果として犬よりも猫との間に強い絆を作ることになったと結論付けました。

社会性をスキップして絆を結ぶ

社会的な関係や状況を無視して絆だけ結ぶことはある意味理想である/Credit:depositphotos

今回の結果は、自閉症の特殊性を改めて浮き彫りにしました。

自閉症の子供は社会性に関わらず付き合える猫に対して、短い視線を送り、絆を育んでいたのです。

この事実は、自閉症の子供が苦手とするのは社会性形成の段取りだけであり、それをスキップしてくれる猫のような存在は、絆を結ぶ相手として非常に相性がいいことを意味します。

また研究者は今回の結果から、自閉症の子供にとってペット(特に猫)を飼うことは、心の健康にとって非常に重要であると結論しました。

一般的な人間関係は社会性がなければ築けません。

そのため社会性に難があるとされる自閉症の子供は絆を作る相手が持てず、精神的孤独に陥ってしまうことがあります。

しかし社会性をスキップしてくれる猫のようなペットを飼うことで、絆を結ぶ相手を確保することが可能となり、精神的に好ましい結果が期待できるのです。

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