「大気圏に弾かれた」珍しい流星を撮影

space

9月22日に撮影された大気圏で弾かれるアースグレイジング火球。
9月22日に撮影された大気圏で弾かれるアースグレイジング火球。 / Credit:Global Meteor Network; D. Vida, P. Roggemans, J. Dörr, M. Breukers, E. Harkink, K. Jobse, K. Habraken

9月22日、大気圏に弾かれて再び宇宙へ帰っていく珍しい流星の姿が撮影されました

映像は隕石を監視するアマチュア天文学者の観測網「グローバル・メテオ・ネットワーク」のカメラによって撮影されたとのこと。

大気圏に弾かれる流星は年に数回は発生しているといいますが、このようにはっきりした映像で公開されるのは珍しいことです。

9月22日撮影された「宇宙へ帰っていく珍しい流星」

9月22日に撮影された流星が、宇宙へと帰っていく軌道。
9月22日に撮影された流星が、宇宙へと帰っていく軌道。 / Credit:Global Meteor Network; D. Vida, P. Roggemans, J. Dörr, M. Breukers, E. Harkink, K. Jobse, K. Habraken

9月22日に観測された流星は、小さな岩石だったと考えられ、北ドイツオランダの上空で観測されました。

この流星は秒速34.1kmという速度で大気圏に入り、弾かれるようにして地球へ落下することなく宇宙へと戻っていきました。このとき最大で高度91kmまで地球に接近していたと推定されています。

これは軌道上の衛星などよりもさらに低い高度です。

科学者はこの流星がやってきた軌道を推定し、木星近くまで追跡しましたが、母天体がなんであったのかまで確認することはできませんでした。

実際流星の起源を追うことができるのは、数万に及ぶ流星のうちのほんの40個程度です。

この流星がどのくらいのサイズだったかについても、まだ計算されていませんが、おそらくかなり小さかっただろうと推定されています。

大気圏に弾かれる流星 アースグレイジング火球

1980年に目撃されたアースグレイジング火球のスケッチ。
1980年に目撃されたアースグレイジング火球のスケッチ。 / Credit:en.Wikipedia

非常に浅い角度で地球に接近した隕石は、石投げの水切りのような状態で大気圏内へ深く侵入できず弾かれていきます

このように地球大気圏内に侵入していながら、地球へ落下することも大気圏で燃え尽きることもなく宇宙へ帰っていく流星を「アースグレイジング火球(英: Earth-grazer)」と呼びます

これは年に数回程度発生していて、過去にいくつかの目撃例はありますが、撮影されるのは非常に珍しいものです。

映像でははっきりと弧を描いて弾かれているように見えますが、実際は接線方向に地球をかすめて通り抜けているだけで、極端に曲がって見える軌道は地上観測による影響です。

こうした流星は地球に落下しないので、特に危険はないように思えますが、最近の研究ではツングースカ大爆発を起こした隕石は大気圏で弾かれた流星だったのではないか? とする研究も発表されています。

「観測されない流星はない」

一晩で宇宙に観測される流星。
一晩で宇宙に観測される流星。 / Credit:GLOBAL METEOR NETWORK

今回の流星を撮影したのは、「No Meteor Unobserved(訳: 観測されない流星はない)」というスローガンのもと活動する天体観測ネットワーク「グローバル・メテオ・ネットワーク(英: GLOBAL METEOR NETWORK、以下GMN)」です。

GMNは市民科学者やアマチュア天文学者が独自の観測撮影機器を使って構築されています。

その目的は流星カメラで全世界をカバーすることで、リアルタイムに隕石接近の警報を一般に向けて提供することと、地球周辺の流星環境を画像として構築することです。

これらを使ってGMNは、地球へやって来る隕石のメカニズムを解明しようとしています。

隕石を正しく観測すれば、それがどこからやってきたのか? どのように誕生したのか? についても推測でき、太陽系の成り立ちについても理解できるようになるでしょう。

年間では、数百トンにも及ぶ惑星間天体が地球の大気圏へ突入しています。

そのほとんどは大気圏で燃え尽きてしまいますが、いくつは地上まで落下する隕石になるのです。

私たちが夜空を見上げて流星を目撃することは非常に稀なことですが、1時間夜空を眺めるだけでも10個ほどは流星が見つかるといいます。

たまには、辛抱強く夜空を眺めて珍しい流星を探してみるのもいいのかもしれませんね。

あわせて読みたい

SHARE

TAG