かつて月は地球を守る「強力な磁気シールド」として太陽風を防いでいた! “月がなければ生命が誕生しなかった”かも

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ガリレオミッションの画像の合成。
Credits: NASA/JPL/USGS

reference: NASA

 

約45億年前、地球の衛生として誕生した月は、現在の地球と同等の磁場を持っていた可能性があります

これはまだ活動の激しかった初期の太陽が放つ強力な放射線から、地球の大気を守ってくれていたかもしれません。

NASAの研究者により10月14日に科学誌『Science Advances』で発表された研究によると、初期の月は地球を太陽風から守る盾であり、それが最終的に地球を生命の居住可能惑星に発展させるサポートをしたと報告しています。

月がなければ、現在の我々もいなかったかもしれません。

簡単な月の歴史

テイアが初期地球に衝突したアーティストイメージ。
テイアが初期地球に衝突したアーティストイメージ。/Credit:en.Wikipedia

主要な理論によると、月は約45億年前、地球がまだ形成されて1億年未満のときに、火星ほどのサイズを持ったテイアという物体が地球に衝突したことで生まれたと言われています。

こうして生まれた月の存在は、重力的な影響によって地球の自転軸を安定させ自転速度を徐々に緩やかなものへと変えていきました

初期地球の自転は非常に速かったと予想されていて、1日はわずか5時間しかありませんでした。しかし、月の影響で自転速度が徐々に遅くなっていきます。すると今度は、角運動量保存の法則に従って、月が少しずつ地球から遠ざかっていったのです。

初期の月は今よりずっと地球に近い場所にあり、40億年前の時点でその距離は約13万キロメートル程度でした。現在地球と月の距離は約38万キロメートルなので、これは現在の距離の約3分の1です。

初期の月の磁場

地球のコアは溶けた鉄とニッケルで出来ており、その流動が磁場を生み地球を取り巻く磁気圏を作り出しています。

これは太陽風によって飛ばされてくる放射線から地球の表面を守り、大気が宇宙へ吹き飛ばされるのを防いでいます。

現在の地球圏の磁力線を描いたもの。月には磁場はありません。
現在の地球圏の磁力線を描いたもの。月には磁場はありません。/Credits: NASA

一方、月のコアは小さいため、地球のように長続きする磁場は持てなかっただろうというのが、一般的な科学者たちの見解です。

しかし、かつて月も磁場を持っていたという証拠がアポロ計画から確認されています

アポロ12号は月に磁力計を持っていき、月面の磁場が0ではないということを発見しました。それは地球磁場の1000分の1程度のものでした。

現在の月に磁場は存在していないので、これは月面の岩石に保存されたかつての月の磁場の記憶と呼ぶべきものです。

それがどのようなものであったかは、月の岩石サンプルを地球へ持ち帰り、これを分析して岩石内部の磁化された痕跡を抽出して研究する必要がありました。

幸いアポロは大量のサンプルを地球へ持ち帰ってくれました。これが現代技術で分析され、かつての月の磁場の様子が明らかになってきたのです。

研究の結果、月の岩石のいくつはかなり強力に磁化されていることがわかりました。ここから、月の磁場は約35億年前まで地球と同等の強さを持っていたと考えられるのです。

月は地球同様に形成当時は非常に高い熱を持っていました。それはオーブンから取り出されたばかりのケーキのようなものです。これは質量が大きいほど冷却に時間がかかります。

地球は現在もまだコアに熱が残っていますが、月はそれほど長くは持ちませんでした。しかし、小さな月のコアも初期のころは熱く流動しており、磁場を生み出していたのです。

初期の月は地球を守る磁気シールドだった

新たな研究によると地球と月の両方が数十億年前に接続された磁場を持ち太陽風から大気を保護していた。
新たな研究によると地球と月の両方が数十億年前に接続された磁場を持ち太陽風から大気を保護していた。/Credits: NASA

新たな研究は、この事実から地球と月の磁場が約40億年前にどのように振る舞っていたかをシミュレートしました。

研究チームはここから月の磁場は、地球と月に降り注ぐ初期太陽の激しい放射に対する障壁として機能していたと分析しています。

このモデルによれば、月と地球の磁場は極点域で接続されていて、この結合された磁場が高エネルギーの太陽風粒子の浸透をガードし、地球の大気が吹き飛ばされるのを防いでいたと考えらます。

また、この共有された月と地球の磁場は、月に大気をもたらしていた可能性が示されています。

太陽の強い紫外線は、地球極点最上部の大気粒子から電子を剥ぎ取り、粒子を帯電させました。帯電した大気は共有された磁力線に沿って地球から月へ移動し、月にも薄い大気をもたせていた可能性があるのです。

月の石のサンプルから窒素が発見されていますが、これは窒素を多く含む地球の大気が古代の月に運ばれたためであったという証拠と考えられます。

研究チームの計算では、この地球と月の結合した磁気圏は、41億年前から35億年前まで続いていた可能性があります。

やがて月は冷えていき、その磁気消失とともに大気も失っていきました。これは32億年前に大幅に減少し、15億年前には完全に消滅したと考えられます。

月がなければ現在の地球はなかった

Moon
Moon/Credit:depositphotos

磁場がなければ惑星は大気をその表面に維持することができません。

これは現在の火星が大気を失っている原因でもあります。火星は現在コアの活動が停止して磁場を持っておらず、太陽風の影響で表面の大気のほとんどが失われています。

地球は豊富な大気に包まれていて、それが生命の宿る惑星へと進化した重要な要素となっていますが、この大気は初期の月の磁場がなければ現在まで維持できていなかった可能性があるのです。

月は初期の重要な時代に、地球を有害な太陽風の影響から保護してくれていました。

これは同様の方法で、地球以外の惑星が大気を維持して生命を宿す条件として重要になる可能性があります。月のような衛生を持つことが、系外惑星で生命が宿る条件かもしれないのです。

これは非常に興味深い発見でもあります。

月のない地球の夜空など想像することはできませんが、慣れ親しんだ景色であるという以上に、月は地球にとってかけがえのない存在だったようです。

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