分子シミュレーションによって模擬されたガラス(右)。白丸赤丸は分子を表し不規則に配置されている。
分子シミュレーションによって模擬されたガラス(右)。白丸赤丸は分子を表し不規則に配置されている。 / Credit:東京大学
chemistry

ガラスでは分子の再配置が絶えず起こっている。分子の“固体的な振動”と“液体的な流動”の中間的な状態が明らかに (3/3)

2021.01.27 Wednesday

2020.10.19 Monday

前ページ分子シミュレーションによるガラス分子の熱運動の解析

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ガラスのことをどう考えれば良いのか?

水が入った1杯のガラスのコップ
水が入った1杯のガラスのコップ / Credit:pixabay

再配置現象を固体の「安定性」という点で考えると、これは微視的な破壊現象と捉えることができると研究は述べています。

破壊は、ほんの僅かな熱を与えただけでも発生し、これはガラスがギリギリで安定性を保っている固体「限界安定な固体」ということができます

このギリギリな状態の秘密は、ガラスの形成過程にあると考えられます。

ガラスは水のようにある温度でパキッと結晶になるわけではありません。1300℃~1600℃の高温ではどろどろに溶けますが、500℃~700℃を下回ると、粘性が増していき、粒子が規則正しく並ばないまま固まっていきます。

それが分子の再配置を起こす、ギリギリの安定な固体のガラスを生み出していると考えられるのです。

今後、ガラスについてさらなる理解を深めるためには、そんなガラスの形成過程までさかのぼって研究を進めていく必要があるといいます。

日常的にガラスを利用する分には、別段影響のない話ですが、ガラスのコップの水を飲むとき何だか妙な気分になってしまいそうです。

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