働きアリは”羽を失うこと”と引き換えに驚異的な強さを手にしていた!

「働きアリ」は羽がないことで強くなった?
「働きアリ」は羽がないことで強くなった? / Credit: Philip Hönle
reference: phys, zmescience

アリは、地球上で最も繁栄に成功している生物です。温帯の土壌から熱帯雨林、砂漠の乾燥地から自宅のキッチンまで、アリとあらゆる場所にいます。

成功の秘訣は、完璧に統率された社会性にありますが、その中でも最重要ポジションにあるのが「働きアリ」です。

彼らは自重の何倍もの重さを軽々と持ち上げ、巣に持ち帰ります。

一方で、これまでの研究では、アリの社会性ばかりが注目され、個々の働きアリの能力についてはやや軽視されていました。

しかし今回、沖縄科学技術大学院大学(OIST)とフランス・ソルボンヌ大学の共同研究により、働きアリの強さの秘密がついに解明されました。

10月19日付けで『Frontiers in Zoology』に掲載された報告によると、羽を失くしたことが、より強靭なパワーの獲得に直結していたとのことです。

羽は体を不自由にする?

羽は身体能力を下げる?
羽は身体能力を下げる? / Credit: jp.depositphotos

OISTのエヴァン・エコノモ教授は「働きアリはもともと飛翔能力を持つ昆虫から進化しました。そのため、私たちは、羽を失くすことが地上作業に適した肉体の獲得に繋がったのではないかと以前から仮定していたのです」と話します。

空を飛ぶ鳥や虫を見てうらやましく思うこともありますが、実際、飛翔能力は体の構造に強い制約を課します。例えば、飛翔昆虫では、羽のための筋肉が胸部の大部分を占め、ときには50%以上をおよぶのです。

これは頭や足、腹部を自由に動かすための筋肉が拘束されることを意味します。

反対に、羽の筋肉がなくなれば、その分だけ胸部にスペースが空き、その他の筋肉を増強、再編成できるのです。

働きアリの強さの秘密を解明!

そこで研究チームは、「羽のない働きアリ」と「羽を持つ女王アリ」を用いて、X線分析を行い、全身の解剖学的構造を高い解像度でスキャンしました。

スキャンデータをもとに、すべての筋肉部位をマッピングし、3Dで再構築しています。

こうして得られた胸部内側の全体像を、他種のアリや羽のない昆虫とも比較しました。

働きアリの胸部の筋肉
働きアリの胸部の筋肉 / Credit: OIST

その結果、働きアリは羽に必要な筋肉を失くしたことで、胸部内の筋肉を増強、再編成していたことが判明しました。

特に3つの筋肉群の体積がはるかに拡張されており、それが強靭なパワーに繋がっていると見られます。また、首の筋肉にも変化があり、頭部を支えて自在に動かせるようになっていました。

同チームのクリスチャン・ピーターズ博士は「働きアリでは、胸部内のすべての筋肉が小さな空間に美しく再統合されていた」と述べています。

女王アリの場合、翅のための筋肉(紫)が胸部の大部分を占める
女王アリの場合、翅のための筋肉(紫)が胸部の大部分を占める / Credit: OIST
働きアリの胸部は、多様な筋肉で再編されていた
働きアリの胸部は、多様な筋肉で再編されていた / Credit: OIST

胸部内の筋肉は、頭や足、下腹の動きにも深く関係し、高い身体能力を実現するための重要な場所となっています。

同チームは次のステップとして、アゴや脚部についても同様の調査を行い、働きアリの能力をより詳しく解明する予定です。

みなさんのおかげでナゾロジーの記事が「Googleニュース」で読めるようになりました!
Google ニュースを使えば、ナゾロジーの記事はもちろん国内外のニュースをまとめて見られて便利です。
ボタンからダウンロード後は、ぜひフォローよろしくおねがいします。
Google Play で手に入れよう App Store からダウンロード
あわせて読みたい

SHARE

TAG