“ビーバーの歯で彫られた” 世界最古の木彫り像「シギルの偶像」とは

世界最古の木像「シギルの偶像」
世界最古の木像「シギルの偶像」 / Credit: The Siberian Times

シギルの偶像という彫刻をご存知でしょうか。

1894年にロシアの泥炭地で発見された木彫り像で、その製作年代は約1万1000年前と判明しています。

これはエジプトのピラミッドやイギリスのストーンヘンジより数千年も前のことです。

そのため、シギルの彫像は「世界最古の彫刻」と呼ばれています。

胴体には「暗号化されたメッセージ」が刻まれている

シギルの彫は1894年1月24日、ロシア中部のエカテリンブルクから約100キロ離れた泥炭地にて、バラバラの状態で発見されました。

泥炭が酸化を防いだことで、1万年もの間、腐蝕することなく現代まで保存されたのです。

その後の調査で高さ2.8メートルの彫像に復元され、1914年に未使用のままだった断片を組み合わせて、高さ5.3メートルのオリジナル像へと復元されています。

約5.3メートルにおよぶ全体像
約5.3メートルにおよぶ全体像 / Credit: The Siberian Times

原材はカラマツの木が使われており、目、鼻、口を持った立体的な頭部が彫刻されています。

頭から下の胴体部分は平らな四角形で構成されており、表面には、直線やひし形、ジグザグ模様など、幾何学的なモチーフが見られました。

ロシア科学アカデミーのミハイル・ツィーリン教授は「この装飾は暗号化されたメッセージであり、古代人は偶像に記された教えを後世に伝えていたのでしょう」と話します。

胴体部に彫られた幾何学模様
胴体部に彫られた幾何学模様 / Credit: The Siberian Times

木像は「ビーバーの歯」で作られた?

木像の彫刻には、少なく見積もって3種類の石器が使用されたと考えられていますが、近年の研究で、そのひとつにビーバーの歯から作られた石器が含まれていたことが分かっています。

実験でも、ビーバーの歯を研ぐことで凹面を彫るのに優れた石器が作れると実証されており、さらにシギルの偶像と同時代の別の遺跡で、ビーバーの下アゴから作られた石器も出土しています。

おそらくビーバーの石器は、木像の大枠を削る目的よりも、顔の部位や模様を彫るのに使われたのでしょう。

ビーバーの石器は顔の模様を彫るのに使われた可能性
ビーバーの石器は顔の模様を彫るのに使われた可能性 / Credit: The Siberian Times

長年、シギルの偶像を研究するツィーリン教授は「これは大きな価値を持った、世界に類を見ないユニークな彫刻です。そこに刻まれたメッセージは現代人にとって全くの謎ですが、これを作った人々が、高度な知性と複雑な精神世界を持っていたことが確かでしょう」と話しています。

「シギルの偶像」はどんなメッセージを持っていたのか
「シギルの偶像」はどんなメッセージを持っていたのか / Credit: The Siberian Times

シギルの偶像は現在、エカテリンブルクにある「スヴェルドロフスク州歴史博物館」に展示されています。

みなさんのおかげでナゾロジーの記事が「Googleニュース」で読めるようになりました!
Google ニュースを使えば、ナゾロジーの記事はもちろん国内外のニュースをまとめて見られて便利です。
ボタンからダウンロード後は、ぜひフォローよろしくおねがいします。
Google Play で手に入れよう App Store からダウンロード
あわせて読みたい

SHARE

TAG