研究の舞台となったチリのアタカマ砂漠。火星初期の荒野に近い環境と考えられている。
研究の舞台となったチリのアタカマ砂漠。火星初期の荒野に近い環境と考えられている。 / Credit:Alberto Fairén,Cornell University
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“火星生命発見”のために、地球で「火星にそっくりな砂漠」を調査する理由

2021.01.27 Wednesday

2020.11.09 Monday

南米チリのアタカマ砂漠というと、大型望遠鏡などが建設されていて天文学の重要拠点になっている地域ですが、天体観測以外でも宇宙の研究にとって重要な土地になるかもしれません。

11月5日にオープンアクセスジャーナル『Nature Scientific Reports』で発表された新しい研究では、乾燥したアタカマ砂漠の粘土層で発見された微生物が、火星地表下にある同様の堆積層からも発見できる可能性を報告しています。

NASAを始めとした研究機関は、現在火星の地下を掘削して、微生物を調査することができる探査機を送り込んでいます。いよいよ、火星でも生物の痕跡が発見できるかもしれません。

>参照元はこちら(英文)

Cornell University https://news.cornell.edu/stories/2020/11/clay-subsoil-earths-driest-place-may-signal-life-mars

火星にそっくりの地球の砂漠

火星ゲイルクレーターにある荒野。地球の乾燥した砂漠と地下の土壌構成が近いかもしれない。
火星ゲイルクレーターにある荒野。地球の乾燥した砂漠と地下の土壌構成が近いかもしれない。 / Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS

火星に生命が存在する場合、その痕跡は地下に保存されている可能性が高いと考えられています。

この調査をするためには、具体的にどういった土壌のどういう部分を注意して見ればいいのかという指標が必要になってきます。そこで役立つのが火星とよく似た環境を地球の中から見つけ出し、微生物の生息可能な場所を探し出す研究です。

火星の地表は非常に乾燥していて、ここに生命が存在することは困難です。

火星と同様の非常に乾燥した過酷な環境は、地球の南米チリにあるアタカマ砂漠にありました。そのため、科学者たちは50年以上に渡って、この地域を研究してきたのです。

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