人類が時間を計り続ける理由とは?
人類が時間を計り続ける理由とは? / Credit: canva
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いつから時間に縛られて人類は生活し始めたのか? 「138億年たってもズレない時計」って知ってる? (2/2)

2021.01.28 Thursday

2020.12.18 Friday

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3000万年に1秒もズレない「原子時計」が生まれるまで

「原子の1秒」と「うるう秒」

時間のズレを防ぐために科学が応用したのは「原子」でした。

1967年に国際度量衡委員会は「セシウム133原子が91億9263万1770回振動する時間」として1秒を再定義しました。

こうして新たに誕生した「原子時」が、地球の動きにもとづいた「天文時」に取って代わったのです。

1秒ってなんで「1秒」なの?

それでも、数年に一度くらい予想外の天文学的異変が生じて、原子時と天文時がズレることがあります。

具体的には、100年で2〜3分程度のズレですから、日常生活には支障のないレベルです。

しかし、正確性を求める科学にはよくありません。

そこで1972年に「うるう秒」が導入されました。

地球の自転が変動して、原子時と天文時に0.9秒を上回る誤差が生じる場合は、1秒単位で原子時を調整します。

これが「うるう秒」です。

138億年たってもズレない「光格子時計」

原子時計はその後も進化をつづけ、近年では3000万年に1秒もくるわないほどの精度まで達しています。

さらに2015年には、東京大学により、原子時計を超える格子時計」なるものが開発されました。

光格子時計であれば、宇宙の年齢である138億年が経過しても、時間のズレは起きないのです。

光格子時計
光格子時計 / Credit: 東京大学

そこまでして時間を正確に計る理由は何でしょう?

これには、アインシュタインが関係します。

アインシュタインは「光速に近づくと時間は遅く進む」と、「重力が強いところでは時間がゆっくり進む」という2つの相対性理論を唱えました。

ところが、人が歩く程度のスピードや、高低差1センチで生じる重力エネルギーの差による時間のズレは、原子時計ですら計れません。

しかし、光格子時計を使えば、この日常生活における時間のズレも捉えられるのです。

日常生活のわずかな重力差も測定できる
日常生活のわずかな重力差も測定できる / Credit: 東京大学

例えば、光格子時計をのせた車を道を走らせ、時間のズレを測定することで、重力エネルギーの差をマッピングできます。

重力に異常が見られる場所には、貴重な資源が隠されている可能性もありますし、火山の噴火や津波の到来も予知できるかもしれません。

日常生活に関係なさそうに見えて、実は「時間を正確に計る」ことはとても重要なことなのです。

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