保育中はゴハンが食べられない
アゴアマダイは、スズキ目アゴアマダイ科アゴアマダイ属の魚で、世界に3属80種ほどが知られています。
主な生息域は、日本南海からインド洋、東西の太平洋、大西洋の西部です。
水深3〜40メートルの浅瀬、それもサンゴ礁のある砂礫に生息し、砂に穴を掘ってその中に身を潜めています。
体色や模様は種によってさまざまです。
体長は約5〜10センチに達し、口はどの種も大きく、巣穴を掘るのに適しています。
普段は巣穴に隠れており、たいていは頭部と上半身が突き出ている状態でしか見られません。
食事のときでも、穴から頭だけをヒョイっと出して、頭上を通る小さな獲物を食べるばかりです。

しかし時々、巣穴から出て、付近を泳ぎまわります。
そしてパートナーに出会い、交尾をすると、オスはメスから受精卵を受け取り、口の中に入れます。
卵は塊になっており、オスはそれを口先でくるくると回転させながら曝気(ばっき)します。
曝気とは、水に酸素を供給する行為のことで、浄水処理の方法の一つとして知られます。
これをすることで、水中の有害な微生物の分解が進み、卵を清潔かつ健康に保てるのです。


一方で、卵塊が口の限界まで詰まっているので、オスは卵が孵化するまでエサをろくに食べられません。
そのため、子どもが孵化する頃には、オスもかなりげっそりしているようです。
卵からかえった子どもたちは、父親に寄り添うこともなく、すぐさま親元を離れていきます。
父親もこの大きな仕事を終えた後は、急いでエサを食べ自分をいたわるのに努めます。
男はつらいよ…といったところでしょうか。