食事をやめさせる神経回路を発見!
![食事の「やめどき」を決める神経回路が発見された](https://nazology.net/wp-content/uploads/2021/06/d77814763caf0f2a5f932c96fef2507b-900x506.jpg)
食事は物語のように起承転結が存在します。
飢えを感じる内部的な刺激にはじまり、視覚や嗅覚を使ったエサの探索、手足を使った確保、そして食事です。
ですが最後に、もう1つ重要な要素があります。
それは食べ終わりの決断です。
これまでの研究によって、神経を興奮させるドーパミンが分泌されると、飢えている状態でも食欲を抑制できることが知られていました。
しかし満腹状態において食事の終了がどのような仕組みで決定されているかは詳しくわかっていませんでした。
食欲抑制と食事終了の決定は、似ているようで異なる仕組みです。
特にダイエットの分野では、むやみに食欲を抑えるよりも、適切な段階で食事終了を決定できたほうが、長期的には望ましい結果につながります。
そこで今回、ベイラー医科大学の研究者たちは、食事終了の決定システムを探すために、マウスの摂食行動に広くかかわる脳の領域を詳細にマッピングしました。
結果、摂食の制御部位(DRD1-LPBN)とドーパミンを生産するニューロン(DA-VTA)の間に、未知のつながりがあることを発見します。
研究チームは早速、マウスが食事をしている間、これら2か所の神経活動を測定しました。
![回路をブーストすると飢えていても食べるのをやめてしまう](https://nazology.net/wp-content/uploads/2021/06/4d869654a36ed1894848f02dce447c25-900x506.jpg)
マウスが食事をしている間、これら摂食を制御する脳の部位とドーパミンを生産するニューロンの神経活動を測定した結果、ドーパミンを生産するニューロンの活動が、マウスが食事をやめる瞬間に増加することを発見します。
また研究者たちが人為的にこのニューロンの活動をブーストした場合、絶食で飢えている状態のマウスにも、途中で食事を終了させる効果がありました。
![回路が破壊されると食事の「やめどき」がわからなくなる](https://nazology.net/wp-content/uploads/2021/06/d91f493dfbbbe3590d80ea4f0b680da2-900x506.jpg)
一方これらのニューロン(DA-VTA)をウイルス感染によって破壊したり、抑制した場合は逆に、マウスは満腹になっても食事を続けるようになり、1カ月で20%もの勢いで体重を増加させていきました。
同様の結果は、ニューロンから信号を受け取る摂食の制御部位(DRD1-LPBN)でもみられました。
この結果は、両者のつながりが食事終了を決定する回路であることを示します。