削らない虫歯治療が可能に⁉
削らない虫歯治療が可能に⁉ / Credit:Depositphotos
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「削らない」虫歯治療へ。ペプチドで歯のエナメル質を再生する研究

2021.07.08 Thursday

Ingeniously Simple Dental Treatment Could Heal Tooth Cavities Without Any Fillings https://www.sciencealert.com/ingeniously-simple-dental-treatment-could-heal-tooth-cavities-without-any-fillings
Biomimetic Tooth Repair: Amelogenin-Derived Peptide Enables in Vitro Remineralization of Human Enamel https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsbiomaterials.7b00959

現在、虫歯の治療法として一般的に知られているのは、「黒ずんだ虫歯部分を削って、詰め物をする」ことです。

この方法は、「歯を覆うエナメル質は一度破壊されると再生できない」という考えから来ています。

ところが近年では、アメリカ・ワシントン大学(University of Washington)口腔健康科学科に所属するメフメット・サリカヤ氏ら研究チームが、ペプチド(短いアミノ酸の鎖)によるエナメル質再生を成功させています。

今後、削らない虫歯治療が主流になるかもしれません。

研究の詳細は、2018年3月9日付の科学誌『ACS Biomaterials Science & Engineering』に掲載されました。

唾液や歯磨き粉による再石灰化はごく初期の虫歯だけ

食事の後、歯の表面(エナメル質)は酸性に傾きます。

そのまま放置すると、酸によってエナメル質からミネラルが溶け出し「スカスカの状態」になります。

この状態は「脱灰(だっかい)」と呼ばれますが、これを防止してくれるのが、唾液です。

唾液は歯の酸化を抑え、失われたミネラルを補充。

スカスカの状態を修復し、「再石灰化」を行ってくれるのです。

エナメル質の脱灰と再石灰化
エナメル質の脱灰と再石灰化 / Credit:Depositphotos

虫歯のごく初期の段階では、エナメル質が脱灰に傾いた状態にあります。

この段階であれば、ミネラルやフッ素を含んだ歯磨き粉などで再石灰化を促し、修復が可能です。

しかし、エナメル質がさらに溶けてしまった状態、つまりエナメル質の一部が完全に破壊されると、それを修復することはできません

歯が黒ずんだ「痛みのない虫歯」でもすでにこの状態にあるため、多くの場合、「虫歯に侵されたエナメル質を削り、詰め物をする」という処置がとられるでしょう。

ところがサリカヤ氏らの研究チームは、従来の常識を覆す「削らない治療法」を発見しています。

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