細菌に規制するウイルス、バクテリオファージ
細菌に規制するウイルス、バクテリオファージ / Credit:depositphotos
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抗生物質が効かない「スーパーバグ」の急速な進化のカギが見つかった

2021.07.19 Monday

Bacterial Parasites Are Behind Rise of ‘Super Bugs’(UPMC) https://www.upmc.com/media/news/071621-cooper-phages
Rampant prophage movement among transient competitors drives rapid adaptation during infection https://advances.sciencemag.org/content/7/29/eabh1489

私たちが細菌に感染した際、強力な武器となるのが抗生物質です。

しかし、細菌の中には複数の抗生物質に対して耐性を獲得したスーパーバグ(多剤耐性菌)と呼ばれるものが増加しています。

なぜ彼らはそんなに素早く、抗生物質に対する耐性を獲得することができるのでしょうか?

ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)医学部の研究チームは、この急速な進化の鍵となっているのが、細菌を攻撃するウイルス「バクテリオファージ」であることを、世界で初めて発見しました

研究の詳細は、7月16日付で科学雑誌『Science Advances』に掲載されています。

細菌の進化が速い原因

怪我をした際処方される抗生物質は、厳格に使用を守るように言われる
怪我をした際処方される抗生物質は、厳格に使用を守るように言われる / Credit:canva

感染症とは、傷口に細が入り込むことで発生します。

これを防ぐための有効な手段は、体に入り込んだ細菌を殺菌する抗生物質を飲むことです。

ただ、抗生物質の乱用は、耐性菌を生む危険が高いという話も、耳にしたこのある人は多いでしょう。

細菌は短い期間で、容易に抗生物質への耐性を獲得する場合があります。

1度耐性を獲得されてしまうと、以後は同じ抗生物質でその細菌を退治することができなくなってしまいます。。

これは、私たちとしては大問題です。

そして、スーパーバグ(多剤耐性菌)はこうしたプロセスを繰り返して、複数の抗生物質に対する耐性を獲得してしまった無敵の細菌です。

こうした存在が増えると、私たちは感染症への対抗手段を極めて制限されることになってしまいます。

耐性菌と新しい抗生物質の開発は、もはやイタチごっこの状態で、延々と続けば人間側が不利であることは明白です。

お医者さんで抗生物質が処方されたときは、必ず飲みきってください、と使用について特に厳しく注意されますが、これは半端な薬の使い方で耐性菌を作らないためです。

しかし、耐性菌とはいわば恐竜が滅びる中、寒冷化した地球環境に適応した哺乳類のようなもので、他より進化した種です。

いくら細菌の進化が速いと言っても、ものの数日で抗生物質への耐性を獲得してしまうメカニズムは、進化微生物学の分野でも謎の多い問題でした。

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