電卓で0÷0を計算してみると?
電卓で0÷0を計算してみると? / credit:depositphotos
mathematics

どうして0で割ってはいけないの?

2021.08.07 Saturday

難波博之「学校では絶対に教えてもらえない超ディープな算数の教科書」 https://amzn.to/3lCcrDB 虚構新聞「『2と1は等しい』 数学界で論議」 https://kyoko-np.net/2008090501.html

突然ですが、問題です。

①3÷0はいくつですか?
②0÷0はいくつですか?

一見すると、簡単な割り算の問題ですが、ワナがあります!

学校などで「0で割ってはいけない」という話を一度は聞いたことがありませんか?

Windows10に内蔵されている電卓に「3÷0」を入力すると「0で割ることはできません」と表示され、「0÷0」を入力すると「結果が定義されていません」と表示されます。

今回は、この不思議な「0除算」について解説していきます。

「割り算」の定義

割り算の記号
割り算の記号 / credit:いらすとや

そもそも「割り算」とは何なのでしょうか?

まずは、「割り算の定義」を確認することから始めましょう。

小学校で「割り算」を習ったときに、「リンゴ6個を3人で分けます。1人何個ずつ分ければよいでしょうか?」といった問題で、「6÷3=2」と答えを出しましたよね。

そのため、「割り算は、物を等しく分けるときに使う計算」というイメージを持っている方が多いと思います。

ということは、「割り算」を


割り算「a÷b」とは、a個の物をb人で等分したときに、1人あたり何個となるかを表す数である。

(難波博之「学校では絶対に教えてもらえない超ディープな算数の教科書」p.46より引用)

と、定義するのが良さそうです。

しかし、ちょっと待ってください!

例えば、「1÷0.25」のような割り算で、上記の定義を適用すると、ちょっと無理があります。「1個のものを0.25人で等分」って、なんだか変ですよね。

「(-2)÷(-1)」のような割り算にも、上記の定義をうまく適用できません。「-2個のものを-1人で等分」となってしまい、ますます謎です。

つまり、先ほどの割り算の定義では、考える数の範囲を広げたときに、うまく適用できないのです。

そこで、新たな割り算の定義を採用します。

それは


a÷bとは、a=b×cとなるcのこと。
つまり、bをかけるとaとなる数のこと。

(難波博之「学校では絶対に教えてもらえない超ディープな算数の教科書」p.51より引用)

という定義です。

少し難しい定義に見えますが、具体例を考えてみると、わかりやすいですよ。

まず、6÷2について考えてみましょう。

6÷2とは、

c×2=6

となるc、つまり、「2をかけると6となる数」のことなので、3となります。

次に、1÷0.25について考えてみると、

1÷0.25とは、

c×0.25=1

となるc、つまり、「0.25をかけると1となる数」のことなので、4となります。

最後に、(-2)÷(-1)について考えてみると、

(-2)÷(-1)とは、

c×(-1)=-2

となるc、つまり、「-1をかけると-2となる数」のことなので、2となります。

このように、新たな定義を採用することで、「1を0.25で割る」や「-2を-1で割る」が無理なくできるようになりました。この新たな定義が「0除算」について理解するための重要なポイントです。

そして、もう一つ、「割り算の定義」に付け加えておくべきことがあります。

それは


a÷bとは、「bをかけるとaとなるcがちょうど1つ存在するとき」そのcのこととする。

(難波博之「学校では絶対に教えてもらえない超ディープな算数の教科書」p.58より引用)

「ちょうど1つ存在する」の部分です。

6÷2の答えは「3」に決まり、それ以外になることはありません。つまり、答えが「ちょうど1つ」存在しています。

当たり前のようにも見えますが、この「ちょうど1つ存在する」の部分も、「0除算」について理解するための重要なポイントです。

ここまで読んで、「新たな定義を採用するなんて、なんだか変なことするなあ」と感じた方もいるかもしれません。

しかし、数学では「より広い範囲で考えられるようにするために、新たな定義を採用する」ということがよくあります。

例えば、高校数学の三角比(数学Ⅰ)と三角関数(数学Ⅱ)でも同じことが起きているのです。

三角比の最初では、サイン・コサイン・タンジェントを、直角三角形を使って定義していますが、三角関数では、単位円(半径1の円)を使った定義に変わっています。

これにより、負の角度など、より多くの角度を扱えるようになるのです。

このように、割り算においても、「より広い範囲で考えられるようにするために、新たな定義を採用する」ということをしています。

そして、この新たな定義は、「1を0.25で割る」や「-2を-1で割る」といったケースだけでなく、「√6を√2で割る」や「-1をi(虚数単位)で割る」などにも適用することができるのです。

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