ワクチンが効きにくい可能性がある「ミュー変異体」について知っておくべきこと
ワクチンが効きにくい可能性がある「ミュー変異体」について知っておくべきこと / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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ワクチンが効きにくい可能性のある「ミュー変異株」とは?

2021.09.07 Tuesday

New ‘mu’ coronavirus variant could escape vaccine-induced immunity, WHO says https://www.livescience.com/mu-coronavirus-variant.html COVID-19 Weekly Epidemiological Update https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/20210831_Weekly_Epi_Update_55.pdf
Rapid genome sequencing in hospitals to identify potential vaccine-escape SARS-CoV-2 variants https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(21)00482-5/fulltext

新たなミュー株がWHO(世界保健機関)の注目を集めています。

8月30日、WHOは2021年1月にコロンビアで発見された変異体を「ミュー」と名付け、注目すべき変異体(VOI)のリストに追加したとのこと

リスト入りした主な理由は、ミュー株に疑われる「ワクチン逃れ」の性質にありました。

8月13日に『The LANCET Infection Diseases』に掲載された論文によれば、新たなミュー変異株(vaccine-escape SARS-CoV-2 variants)は、ワクチンや抗体の効果を低下させることが知られている4つの変異(R346K・E484K・P681H・K417Nの4カ所)を全て備えていたからです。

これまでにも南アフリカで発見されたベータ株など、ワクチンの効果を弱めるような変異を起こした変異体が確認されていましたが、ミュー株ほどワクチン逃れの性質を強く持ってはいませんでした。

新たなミュー株に対して、私たちはどのように立ち向かえばいいのでしょうか?

2回のワクチン接種を終えたグループで発生した死亡率33%のクラスター

WHOによってミュー変異体は注意すべき変異体(VOI)に加えられた
WHOによってミュー変異体は注意すべき変異体(VOI)に加えられた / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

ミュー株が起こした最もショッキングな例も、ワクチン逃れを疑わせるものでした。

7月から8月にベルギーの老人ホームにて、2回のワクチン接種を終えたはずの21人がミュー株に集団感染

3分の1にあたる7人が死亡してしまったのです。

現在猛威を振るっているデルタ株でも、ワクチンの効果を突破して死亡に至るケースが報告されていますが、ワクチン未接種者に比べると、死亡数は50分の1ほどまで減らせるとされていました(日本の場合)。

しかしベルギーで起きたミュー株によるクラスターでは、同じような死亡の抑止効果はみられませんでした

データが小規模であるため、この事件だけでミュー株の危険性を判断するには十分ではありませんが、既存の変異株とは大きく異なる傾向が現れたのは事実です。

8月13日に『The LANCET Infection Diseases』に掲載されたミュー株を分析した論文では、将来的にはミュー株のようなワクチン逃れの変異体の出現は避けられないと述べられています。

現在、ミュー株の占める割合は感染者全体の0.1%(デルタ株が99%)に過ぎないながらも、ワクチン接種が進めば、ワクチン逃れの能力を持ったミュー株が有利なる環境ができあがるからです。

問題は、ワクチン逃れの能力を持つミュー株が、どれほどの毒性と感染力があるかです。

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