草木を透かして見る雨の色「利休鼠」。色表現のバリエーションはその言語文化と密接に関連している。
草木を透かして見る雨の色「利休鼠」。色表現のバリエーションはその言語文化と密接に関連している。 / Credit:canva,ナゾロジー編集部
humanities

人類の言語は「暖色系の色」に他より30倍も多彩な名前を持たせていたと判明!

2021.09.29 Wednesday

Mapping words to color https://penntoday.upenn.edu/news/mapping-words-color
What we talk about when we talk about colors https://www.pnas.org/content/118/39/e2109237118

「利休鼠の雨が降る」

そんな文章を国語の教科書で読んだ記憶のある人は多いでしょう。

ある言語がもつ色表現の豊かさは、その言語の話者が、色についてどれだけ話す必要があるかで違ってきます。

米ペンシルベニア大学の研究チームは、130種類の言語から収集したデータを用いて、ある言語が特定の色について話す必要性(多彩さ)を推測するアルゴリズムを開発しました

これは言語の形成を進化論的に解釈した、数学的洞察を含む研究だといえるでしょう。

地域文化と言語が持つ色表現のバリエーションには、どんな関係や意味があるのでしょうか?

研究の詳細は、科学雑誌『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に9月28日付で掲載されています。

言語が異なっても色の認識は一致している?

自分の見ている緑というは、本当に他に人から見ても同じ緑なんだろうか?

なんてことは、中学生くらいになると誰でも考えることのようです。

同じようなことは言語学者も考えます。

50年以上前、人類学者のブレント・バーリンと言語学者のポール・ケイは、アメリカ人の話す「Green(グリーン)」という色は、フランス人が話す「vert(ヴェール)」と同じものなのか? ということを考えました。

そこで彼らは130の異なる言語コミュニティを尋ねて、330色のカラーチップ(下図A)を提示し、言語が表現する代表的な色に対応する色彩を決定する「World Color Survey」という大規模な研究を行ったのです。

すると、面白いことにまったく異なる言語であっても、ほぼ同じ様に色を分類する傾向があるとわかりました。

さらに「もっとも赤い色」や「もっとも緑と感じる色」などを尋ねると、どの言語でも焦点となる色は非常によく一致していたのです。

330色の色のチップ(A)から言語が表す基本的な6つの色を選んでもらった場合、どの言語でもほぼ一致した
330色の色のチップ(A)から言語が表す基本的な6つの色を選んでもらった場合、どの言語でもほぼ一致した / Credit:Colin R. Twomey et al.,PNAS(2021)

つまり、私がみている「緑」は他の人にとっても「緑」だったのです。

原因は生物学的なものでした。

言語や文化が違っても私たちの目の機能は同じです。そのためどの地域でも基本的な色の認識に違いがないと考えられるのです。

一方で、いくつか興味深い違いも明らかになりました。

言語が違うと特定の色合いに対する表現の多彩さが異なっていたのです。

そこで研究者たちはこの違いが、特定の色について、話しに登場させる頻度(ニーズ)に差があるせいなのでは? と考え、実証を試みました。

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