(左)透明ヒスイ, (右)天然のヒスイ原石
(左)透明ヒスイ, (右)天然のヒスイ原石 / Credit:入舩 徹男(愛媛大学)_超高圧合成法により「透明ヒスイ」の合成に成功(2021)
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人工的に「透明なヒスイ」を作り出すことに成功!

2021.10.03 Sunday

ヒスイ(翡翠)は宝石の一種であり、2016年に⽇本鉱物科学会により、日本の「国石」として選定されました。

本来は緑色で「不透明な宝石」ですが、この度、特殊な技法によって「透明ヒスイ」を合成できると判明。

愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センターに所属する入舩 徹男(いりふね てつお)氏ら研究チームが、超高圧合成法によりヒスイの透明化に成功したのです。

研究の詳細は、9月30日付の科学誌『Journal of Mineralogical and Petrological Science』に掲載されました。

超高圧合成法により「透明ヒスイ」の合成に成功 https://www.ehime-u.ac.jp/data_relese/data_relese-174611/
Synthesis of transparent polycrystalline jadeite under high pressure and temperature https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmps/advpub/0/advpub_210319/_article/-char/en

ヒスイは多結晶で不透明

単結晶と多結晶の違い。多結晶体には結晶粒と結晶粒の境界がある
単結晶と多結晶の違い。多結晶体には結晶粒と結晶粒の境界がある / Credit:入舩 徹男(愛媛大学)_超高圧合成法により「透明ヒスイ」の合成に成功(2021)

鉱物には1粒の結晶が成長した「単結晶」と、多数の微小な単結晶が集合した「多結晶」があります。

多結晶体は、多くの結晶粒が集まってできているため、結晶粒と結晶粒の境界がたくさん存在します。

この境界は、いわば「多結晶体の中に存在する隙間」なので、隙間の中にはどうしても空気や不純物が含まれてしまいます。

多結晶体と境界の例。結晶粒の境界には不純物が含まれる
多結晶体と境界の例。結晶粒の境界には不純物が含まれる / Credit:KEYENCE_金属組織の粒度解析

そのため多結晶体にが当たると、不純物の詰まった境界面で光の散乱が生じてしまい、私たちの目には不透明に映ってしまうのです。

逆に単結晶体に光を当てると、光はまっすぐに通過するため、単結晶体の背後が透けて見えます

さて、ほとんどの宝石は単結晶体ですが、ヒスイや孔雀石などの多結晶体も例外的に存在します。

そして上記で解説した性質により、ヒスイの透明度は低く、通常は不透明~半透明です。

ところが、これまでの研究によって既に「多結晶体を透明にする技術」が開発されてきました。

この技法をヒスイにも応用できるかもしれません。

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