デンプンは現在とうもろこしやじゃがいもから作られるが、二酸化炭素から人工的に合成する方法が開発された
デンプンは現在とうもろこしやじゃがいもから作られるが、二酸化炭素から人工的に合成する方法が開発された / Credit:canva
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二酸化炭素から「人工デンプン」を合成することに成功!

2021.10.05 Tuesday

Chinese Scientists Report Starch Synthesis from CO2 https://english.cas.cn/head/202109/t20210924_284057.shtml Chinese scientists report starch synthesis from carbon dioxide https://phys.org/news/2021-09-chinese-scientists-starch-synthesis-carbon.html
Cell-free chemoenzymatic starch synthesis from carbon dioxide https://www.science.org/doi/10.1126/science.abh4049

デンプンは私たちにとっても重要な栄養素となる炭水化物であり、その他にも工業的な原料としてさまざまな用途に利用されています。

デンプンは植物の光合成によって生成される天然高分子で、これまでは植物を育てなければデンプンを手に入れることはできませんでした。

しかし、中国科学院の研究チームは、二酸化炭素から無機物の触媒を用いて、人工的にデンプンを合成する新しい方法を報告しています。

デンプンの生産は、農耕から工業に移行することになるかもしれません。

研究の詳細は、9月24日付で科学雑誌『Science』に掲載れています。

植物によるデンプンの合成

光合成によって二酸化炭素が固定されデンプンが作られる。ただしエネルギー効率としては低い。
光合成によって二酸化炭素が固定されデンプンが作られる。ただしエネルギー効率としては低い。 / Credit:canva,ナゾロジー編集部

植物は光合成によって、光と二酸化炭素、水を原料にエネルギーを作り出します。

そして、そのエネルギーを長期的に貯蔵するためにデンプンを形成し、種子や地下茎などに蓄えます。

お米や小麦、トウモロコシといった穀物はデンプンが主な成分で、私たちの食生活において欠かせないものです。

またデンプンは非常に用途が広い高分子で、食料品としての利用は以外にも、製紙用の糊(のり)や医薬品など工業製品へも幅広く利用されています

そのためCO2を消費して生産できるデンプンの持続的な供給は、気候変動や食糧危機、資源確保といった人類のさまざまな課題をクリアしてくれる重要な戦略に位置づけることができるのです。

しかし、光合成のプロセスによるデンプンの合成は複雑で、このプロセスの理論的なエネルギー変換効率は約2%程度だといわれています。

現在、デンプンの生産には主にトウモロコシが利用されますが、その成長サイクルは100日以上であり、広大な土地が必要となる上、農薬や肥料も大量に消費する必要があります。

広大なトウモロコシ畑
広大なトウモロコシ畑 / Credit:canva

このため、植物生産を経由せずに、二酸化炭素からデンプンを合成する方法は、食糧危機や気候変動に対応する革新的な技術として活躍が期待できるのです。

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