フジツボは移動できた⁉︎
フジツボは移動できた⁉︎ / Credit: Benny K. K. Chan et al., Proceedings of the Royal Society B(2021)
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「動けるフジツボ」を発見! 動かざること山のごとしはウソ?

2021.10.18 Monday

Barnacles are famed for not budging. But one species roams its sea turtle hosts https://www.sciencenews.org/article/barnacles-sea-turtle-shell-movement-cement
Five hundred million years to mobility: directed locomotion and its ecological function in a turtle barnacle https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2021.1620

フジツボは、岩や海洋生物、船体にくっつく固着動物です。

一度くっつけば、動かざること山のごとしのイメージが強いですが、このほど、台湾・中央研究院(Academia Sinica)の最新調査により、「動くフジツボ」が発見されました。

このフジツボは、主にウミガメに固着する既知種で、1週間に約1.4ミリずつ移動することが判明しています。

フジツボが自らの意思で移動していることを実験的に確認したのは今回が初めてです。

研究は、10月6日付けで学術誌『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されています。

移動目的は「より良いエサ場」を見つけるため?

フジツボは、貝類と同じ軟体動物と誤解されがちですが、実際はエビやカニなどの甲殻類に属します。

1829年に、フジツボが、甲殻類と同じ自由遊泳性のノープリウス幼生として孵化することが判明し、それから甲殻類に分類されるようになりました。

成熟したフジツボは、数ミリ〜数センチほどで、海底岩や他の生物に固着します。

食事は、蔓脚(まんきゃく)と呼ばれる手足を使って、海水中のプランクトンをろ過して食べています。

また、固着については、セメントとなる接着物質を分泌することで、自らを固定します。

本研究主任のベニー・チャン氏は「学生の一人がカニの甲羅に固着したフジツボ(Chelonibia testudinaria)をアクリル板に移すことに成功したのをきっかけに、本種の移動性を実験的に検証することにした」と話します。

このC. testudinariaは、ウミガメの皮膚や甲羅に固着することで知られる種です。

ウミガメに固着するChelonibia testudinaria
ウミガメに固着するChelonibia testudinaria / Credit: B.K.K. CHAN(sciencenews) – Barnacles are famed for not budging. But one species roams its sea turtle hosts(2021)

実験では、アクリル板に移した15匹のC. testudinariaを1年間にわたって時系列写真で追跡。

さらに、スペインの研究チームと共同で、飼育下にある5匹のアカウミガメの甲羅に付着させたC. testudinariaの動きを数ヶ月にわたって追跡しました。

その結果、カメに固着していたC. testudinariaは、16週間で54ミリ移動していることが判明したのです。

アクリル板の個体も同様に動いており、板上には幾層にも重なったセメントの痕跡が残されていました。

これは、フジツボが一度固着したセメントを部分的に溶かして、少しずつ移動していることを示唆します。

セメントの痕跡が幾重にも見られる(黄色点は移動距離を示すマーク)
セメントの痕跡が幾重にも見られる(黄色点は移動距離を示すマーク) / Credit: Benny K. K. Chan et al., Proceedings of the Royal Society B(2021)
頭の先の方に移動したフジツボ(水流に逆らっている)
頭の先の方に移動したフジツボ(水流に逆らっている) / Credit: Benny K. K. Chan et al., Proceedings of the Royal Society B(2021)

フジツボは、ほとんどの場合、海流の流れに逆らって移動しており、水の流れの圧力だけで移動しているわけではないことも示されました。

また、フジツボ同士の距離が縮まっていないことから、交尾の機会ではなく、水中のプランクトンをろ過するためのより良い場所を探していると考えられます。

本研究には参加していないハワイ大学マノア校(University of Hawaii at Manoa)のタラ・エソック=バーンズ(Tara Essock-Burns)氏は、こう述べています。

「この結果から、ウミガメに固着するC. testudinariaには、他のフジツボ種とはまったく異なる生化学を持っている可能性があります。

半永久的に固着するフジツボとは違い、セメント自体に柔軟な特性があるのかもしれません」

研究チームは今後、この点も含めて、個体群がひしめき合う潮間帯のフジツボにも移動能力があるかどうかを調査する予定です。

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