ロボットネコと接する認知症患者
ロボットネコと接する認知症患者 / Credit:Bryanna Streit LaRose(FAU)_CAT’S MEOW: ROBOTIC PET BOOSTS MOOD, COGNITION IN ADULTS WITH DEMENTIA(2021)
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ロボットペットに「認知症高齢者の行動を改善する作用」があった

2021.10.31 Sunday

認知症を患っている高齢者はますます増えています。

しかし根本的な治療法はなく、家族や施設の従業員は、日々進行していく症状になんとか対処していくしかありません。

そんな認知症患者の家族に朗報です。

アメリカのフロリダ・アトランティック大学(FAU)に所属する看護学生ブライアナ・シュタイト・ラローズ氏ら研究チームが、認知症患者の症状をロボットペットが緩和してくれると発表したのです。

研究の詳細は、10月13日付の学術誌『Issues in Mental Health Nursing』に掲載されました。

Robotic Pet Boosts Mood, Behavior and Cognition in Adults With Dementia https://neurosciencenews.com/robotic-pet-dementia-19555/ CAT’S MEOW: ROBOTIC PET BOOSTS MOOD, COGNITION IN ADULTS WITH DEMENTIA https://www.fau.edu/newsdesk/articles/robotic-pet-cat-dementia.php
Improving Behavioral and Psychological Symptoms and Cognitive Status of Participants With Dementia Through the Use of Therapeutic Interactive Pets https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/01612840.2021.1979142

認知症患者と家族の苦悩

アルツハイマー認知症は、脳神経の変性によって認知機能が大きく低下する病気です。

認知症を患った高齢者は、性格や言動が大きく変化してしまう場合があります。

攻撃的になって大声を出したり、不安や妄想で心がいっぱいになり急に泣き出したりするでしょう。

排泄・食事・睡眠といった日常生活にまで影響をきたすことも多く、お世話をする人は少しも気が抜けません。

認知症患者には長く続く介護が必要
認知症患者には長く続く介護が必要 / Credit:Depositphotos

そして認知症患者の家族は、認知症を患った親や配偶者の幸せを願う心と、慢性的な介護疲れに板挟みされることでしょう。

症状を緩和させる方法には、抗うつ薬、抗不安剤、睡眠導入剤などの薬物処方が挙げられますが、これらにはしばしば副作用が伴います。

では副作用がなく、安価で、すべての家庭や施設で簡単に導入できる画期的なケアの方法はあるのでしょうか?

研究チームは、ペットセラピーに着目しました。

ペットセラピーは、ペットと接することで気分や行動が改善される費用対効果の高いケアです。

しかし、患者のためにペットを飼育するのは現実的ではありません。

そこでチームが活用したのは、ロボットペットです。

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