光速度の低下した世界を再現するゲーム「A Slower Speed of Light」のゲーム画面。光のドップラー効果が実際に色彩に影響している。
光速度の低下した世界を再現するゲーム「A Slower Speed of Light」のゲーム画面。光のドップラー効果が実際に色彩に影響している。 / Credit:MIT Game Lab © 2021 Massachusetts Institute of Technology
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「光の速度が低下する」ありえない世界を表現したゲームが開発される

2021.11.03 Wednesday

A Slower Speed of Light http://gamelab.mit.edu/games/a-slower-speed-of-light/ What would happen if the speed of light was much lower? https://www.livescience.com/what-if-speed-of-light-slowed-down

私たちは、光を使って世界を見ています。

そのため、人間が光の速度に近づいて動いた場合、世界の見え方にはいろいろと奇妙なことが起こります。

光のドップラー効果で色彩が変化したり、空間や時間が歪んで見えるようになるのです。

ただ光は宇宙でもっとも速い存在のため、人間がそれを知覚できる状況は普通ありえません。

そこで、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)の研究チームは、こうした物理学者の思考実験の世界を実際体験するために、光の速度が低下する世界を表現したゲームを開発しました。

光の速度が低下していったとき、世界は一体どのように見えるのでしょうか?

人間が光速に近づくと何が起きるのか?

は真空中を毎秒約30万キロメートルで移動します。

もしこの速度に近づいて人間が移動したとき、世界の見え方には明らかな異常が発生すると考えられます。

しかし、人間がこれまでに成功した最高速度は、光速の約0.0037%に過ぎません。

そこで物理学者たちは、思考実験によって人間が光速に近づいたとき、何が起きるかをさまざまに予想してきました

アインシュタイン特殊相対性理論では、光速に近づくと時間の流れが遅くなり、物体の長さは実際よりも短くなるといいます。

光速に近づいて移動したときの変化
光速に近づいて移動したときの変化 / Credit:canva,ナゾロジー編集部

また、光のドップラー効果が目で見てもわかるレベルで色彩に変化を及ぼすようになります

音のドップラー効果は、誰もが理科で聞いたことのある通り、近づいてくる救急車は音の波長が縮まることで高い音に聞こえ、通り過ぎて離れていくときは音の波長が伸びて低い音に聞こえるというものです。

光も音と同様に波としての性質を持ち、波長によって私たちに見える色というものが決定されています。

つまり音が低くなったり高くなったりするように、光速に近い速度で人が移動すると、光の波長が目に見える形で縮んだり伸びたりするため、視界が青くなったり赤くなったりするわけです。

光のドップラー効果。近づく物体は青に、遠ざかる物体は赤に光の波長が近づいていく。
光のドップラー効果。近づく物体は青に、遠ざかる物体は赤に光の波長が近づいていく。 / Credit:Wikipedia

しかし、これはなかなか常人にはイメージしにくい話です。

そうしてこうした問題は、人間が光速に近づく代わりに、光の速度が遅くなったと考えても同じことが起きるのです。

こちらの方が、いくぶんイメージは作りやすい感じもします。

そこで、スイス連邦工科大学チューリッヒ校のゲルト・クルトマイヤー(Gerd Kortemeyer)氏のチームは、この通常ではありえない特殊な状況を、ゲームの中の世界で表現しようと考えたのです。

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