氷河時代の写実的アートは「自閉症」の祖先によって発展した

culture 2018/05/15
CREDIT: PENNY SPIKINS, UNIVERSITY OF YORK / 同年代の「自閉症の子」と「そうでない子」の作品
Point
・氷河時代に洞窟に描かれた動物の写実的な絵は、「自閉症」の特徴をもった祖先が描いた可能性が高い
・氷河時代の厳しい外的環境が遺伝子に影響を与え、人類に高い集中力を身につけさせた

 

物事を細かく、より詳細にとらえることができるのが、自閉症によくみられる能力の一つです。ヨーク大学の最新研究により、自閉症のこの能力が、氷河時代(アイス・エイジ)に「写実主義」を発展させた可能性が高いことがわかりました。

How Do We Explain ‛Autistic Traits’ in European Upper Palaeolithic Art?
https://www.degruyter.com/view/j/opar.2018.4.issue-1/opar-2018-0016/opar-2018-0016.xml

およそ3万年前にヨーロッパで突如として発展した、現実をありのままに描き出す「写実主義」。南フランスのショーヴェ洞窟には、氷河時代に描かれた驚くほどに詳細なクマ、バイソン、ウマ、ライオンの絵が描かれています。

Credit: Wikimedia / 約3万年前にショーヴェ洞窟で描かれたライオン

なぜ氷河時代の祖先が、簡略化した絵ではなく、このように詳細に動物を描いたのかは、長年研究者たちにとって大きな謎でした。かつてはドラッグが芸術に与える影響が信じられており、60年代にはLSDなどを使った倫理的に疑わしい実験が多く行われてきました。

最新の研究では、ドラッグが写実主義の背後にあるといった考え方は排除され、代わりに結び付けられたのが、その細やかな絵の特徴と「自閉症」。そこでは、氷河期の厳しい外的環境が遺伝子に影響を及ぼした結果、細かいことに集中できる能力を発展させたのではないかと考察されています。実際に、最も重度な遺伝的自閉症の特徴をもつ人は、氷河期の困難を経験した祖先のいる北欧に起源をもっていました。

さらにこの研究は、芸術だけでなく、人類の進化の過程において「自閉症の人」が重要な役割を果たしてきたことを示唆しています。氷河期の厳しい環境において、その高い「集中力」が空間認識能力などを発達させ、食料を見つけ出すことなどにも役立っていた可能性があるのです。

実験を率いたヨーク大学のペニー・スピキンズ博士は、「自閉症の人の多くがもつ “詳細に集中する能力” は、骨や岩や木から複雑な道具を作り出す際にも役に立ったと思われます」と述べており、その能力の果たしてきた役割の重要性を強調しています。

 

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via: eurekalert, independent / translated & text by なかしー

 

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