数学の超難問を殺人犯が解いてしまう
数学の超難問を殺人犯が解いてしまう / Credit:Depositphotos
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数学の超難問を収監中の殺人犯が解いてしまった話 (2/2)

2022.01.09 Sunday

前ページ25年の刑期を過ごす殺人犯に転機が訪れる

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服役中の殺人犯が連分数の超難問を解く

ヘヴンズ氏が書いた手紙は、イタリア・トリノ大学(University of Turin)に所属する有名な数学者ウンベルト・チェルッティ氏に渡りました。

彼はヘヴンズ氏に興味を抱き、その能力を試すために数学の問題を送ったようです。

すると、すぐに非常に長い数式が書かれた返事の手紙が帰ってきました。

チェルッティ氏がコンピュータにその数式を入力したところ、正しく問題が解けていると判明。

この件でヘヴンズ氏の実力を認めたチェルッティ氏は、自身が取り組もうとしていた連分数の超難問を彼に与えたのです。

連分数とは簡単に言うと、分母にさらに分数が含まれているような分数のことです。

例えば円周率(π)は3.14159……と続きますが、連分数を使用すると下記の画像のように、シンプルな規則をもたせた形式で表現できるのです。

円周率(π)の連分数展開
円周率(π)の連分数展開 / Credit:Wikipedia_Continued fraction

そしてヘヴンズ氏は刑務所の中で紙とペンだけを使って、連分数におけるいくつかの規則性を新たに見出し、証明することに成功しました。

このヘヴンズ氏とチェルッティ氏による論文は2020年1月付の数学誌『Research in Number Theory』に掲載されています。

道を踏み外したヘヴンズ氏は刑務所の中で数学と出会い、才能を開花させて超難問を解くまでになったのです。

現在ヘヴンズ氏は刑務所の中で数学を教えている
現在ヘヴンズ氏は刑務所の中で数学を教えている / Credit:Washington Prison Service(Ancient Origins)_Imprisoned Murderer Solves Ancient Math Problem(2021)

現在彼は刑務所の中で数学クラブを設立しており、他の受刑者たちと共に数学を学んでいます。

そして「数学に打ち込むことで、社会に対する負債を清算したい」と願っているのです。

刑期は残り16年もありますが、それを終えた後は正式に数学を学びなおしたいと考えているようです。

まさに、「数学が殺人犯の人生を大きく変化させた」のです。

※こちらの記事は2020年に配信されたものを再編集して配信しています。

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