カエルのメスにしがみつくオスの力はすごかった
カエルのメスにしがみつくオスの力はすごかった / Credit:canva
biology
The Freeloading Boyfriends That Just Won’t Let Go https://www.theatlantic.com/science/archive/2022/03/colombian-toad-mating-amplexus/627057/
Mate-guarding behaviour in anurans: intrasexual selection and the evolution of prolonged amplexus in the harlequin toad Atelopus laetissimus https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0003347221003791?via%3Dihub

2022.04.12 Tuesday

交尾するまで離れない! 5カ月もメスの背にしがみつく南米のド根性カエル

交尾相手の背中にしがみつき、独占するカエルの行動を「アンプレクサス(amplexus、ラテン語で「抱擁」の意)」と呼びます。

この行動は多くの種に見られますが、中でも特にアンプレクサスに執念を燃やすのが、南米コロンビア北部の山岳地帯に生息する「サンタマルタ・ハーレクイン・ヒキガエル(学名:Atelopus laetissimus、以下ハーレクイン)」です。

ハーレクインのオスは、同種のメスを見つけると、背中に飛びつき、交尾が成功するまで離れません。

今回、コロンビア・マグダレナ大学(University of Magdalena)を中心とする研究チームは、ハーレクインのアンプレクサス行動について詳しく調査。

その結果、オスは5カ月近くもアンプレクサスを続け、しかも、自重の50倍以上の力でメスにしがみつくことが判明しました。

なぜ、ここまで1匹のメスに執着するのでしょうか?

研究の詳細は、2022年3月に科学雑誌『Animal Behaviour』に掲載されています。

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飲まず食わずでメスにしがみつく、餓死することも

ハーレクインのオスは、一日の大半を小川の水辺で過ごし、メスに巡り会うのを待っています。

しかし、彼らが幸運に恵まれることは滅多にありません。

オスの倍以上あるハーレクインのメスは、雨季の始まりの数日間だけ樹上から降りてくるのです。

「出会いの確率はきわめて低い」と、マグダレナ大学の生物学者で、研究主任のルイス・アルベルト・ルエダ・ソラノ(Luis Alberto Rueda Solano)氏は指摘します。

オスが最初に遭遇したメスが、その年に出会う唯一のメスである可能性も十分にあるという。

そのため、ひとたびメスを見つけると、オスはその背に飛び乗って、脇の下から腕をまわし、しっかりと体をロックします。

そして、交尾に成功するまで、何が何でも離れません。

ちなみに、カエルの交尾は、人間が考えるようなセックスではありません。メスが卵を放ち、そこに精子を吹きかけて受精させるのが彼らの交尾です。

チームが調査したところ、ハーレクインのアンプレクサスは、平均して70〜135日も続くことが判明しました。

他種のアンプレクサスは、だいたい数分から数時間が一般的だという。

アンプレクサス中のハーレクイン・ヒキガエル
アンプレクサス中のハーレクイン・ヒキガエル / Credit: Jaime Culebras – Colombia: Conserving threatened harlequin toads in the Sierra Nevada de Santa Marta(CFC)

しかも、ハーレクインのオスはこの間、飲まず食わずで過ごし、体重は最大で30%も減っていました。

「カエルは肋骨や横隔膜を持たないため、胃から背骨が見えるほど痩せこけることもあった」と、ソラノ氏は言います。

まれにですが、オスが交尾を成功させる前に飢え死にし、メスの背中からずり落ちるケースもみられました。

これは、オスの忍耐強さと執念深さを雄弁に物語っていますが、それはやはり「メスと滅多に遭遇できないことが理由」とチームは指摘します。

先ほど言ったように、メスは雨季の数日しか地上に現れず、チャンスが限られています。

さらに、ハーレクインの性比は、3:1でオスがメスの数を大きく上回っています。

こうした状況下では、できるだけ早くメスをつかまえたオスがーたとえそれが、メスの産卵準備が整うずっと前であってもーライバルとの繁殖競争に勝つのです。

なので、私たちのように「タイプじゃないから」と贅沢を言っている暇はないのです。

しかもチームの調査により、どんなにガタイのいいオスでも、アンプレクサス中のオスを引き剥がすことはほぼ不可能であることが判明しました。

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