「ソアリング飛行」には2種類ある
現存する大型鳥類の多くは、翼を上下させる「羽ばたき飛行」ではなく、より省エネな「ソアリング飛行」を行います。
ソアリング飛行というのは、上昇気流を利用して高度や速度を得る飛行方法のことです。
たとえば、現生鳥類で最大級のコンドルは、飛行時間のうちに占める羽ばたきの割合は全体の1%にすぎません。
そして、ソアリング飛行には大きく分けて、「サーマルソアリング」と「ダイナミックソアリング」の2種類あります。
サーマルソアリングは、温められた地面から生じる上昇気流に乗って旋回上昇し、その後、滑空降下するプロセスを繰り返すもので、コンドルやワシ、グンカンドリによく見られます。
![人間が乗るグライダーも同様の原理を利用して長距離を飛行する](https://nazology.net/wp-content/uploads/2020/07/d8e808070108670ae338886a9e489c15-900x342.png)
ダイナミックソアリングは、海上の風速勾配(海上付近の風は、海面に近いほど風速が小さく、高度が上がるほど大きくなる)を利用して滑空するもので、アホウドリやミズナギドリが代表的です。
![過去と現代のソアリング飛行をする生物としない生物(イラスト:きのした ちひろ)](https://nazology.net/wp-content/uploads/2022/05/20220512150110-449x600.jpg)
絶滅した巨大鳥類や翼竜も、省エネのため、いずれかのソアリング飛行を主な移動手段に用いたと考えられますが、実態はほとんど解明されていません。
そこで本研究チームは、航空力学に基づいた、絶滅飛行生物のソアリング能力を検証しました。