ロボットに初歩的な自己認識能力を持たせることに成功!
ロボットに初歩的な自己認識能力を持たせることに成功! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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ロボットに初歩的な自己認識能力を持たせることに成功!

2022.07.18 Monday

機械が初歩的な自己認識を持ったようです。

米国のコロンビア大学(Columbia University)で行われた研究によれば、ロボットに自分の体について、視覚的な自己認識を与えることに成功した、とのこと。

自己認識を持ったロボットは、リアルタイムで自分の体の空間的な位置を把握し、与えられた指令を実行するために、自分の体をいかに動かすべきかを事前に計画するすることが可能です。

また驚くべきことに、損傷を受けて動きが鈍った場合でも、自動的に自分の行動を補正して課題を遂行しようとする様子も観察されました。

研究者たちは「自己モデリングは自己認識の原始的な形」であり「自己認識を持つことはロボット・動物・人間の全てにとって、より良い判断をする助けになる」と述べています。

研究内容の詳細は2022年7月13日に『Science Robotics』にて公開されています。

A Robot Learns to Imagine Itself https://www.engineering.columbia.edu/news/hod-lipson-robot-self-awareness Full-Body Visual Self-Modeling of Robot Morphologies https://robot-morphology.cs.columbia.edu/
Fully body visual self-modeling of robot morphologies https://www.science.org/doi/10.1126/scirobotics.abn1944

自己認識を持つAIはより良い判断を下せるようになる

自己認識を持つAIはより良い判断を下せるようになる
自己認識を持つAIはより良い判断を下せるようになる / Credit:Canva

人間の神経の活動をシミュレーション空間で模倣するニューラルネット技術は、現在のAI開発において主流になりつつあります。

現在の技術では人間の全体をシミュレートすることはできませんが、生物学的な制限(食事や休憩)にとらわれず、ネットワークを常に成長・強化させたニューラルネットは、既にいくつかの分野で人間の認知能力を上回るようになっています。

例えば、病状から病名を判定する判断力、

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X線写真などから腫瘍をみつける画像分析能力、

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などは、人間よりもニューラルネットが優れていることが判明しています。

しかしこれまで開発されたニューラルネット搭載のロボットたちには、自らの体に対する視覚的な自己認識能力は極めて希薄でした。

そのためロボットたちは決められた動作は人間より得意でも、人間では考えられないような「なんでもない障害物にぶつかって倒れたりする」ことが起こり得ます。

人間より遥かに優れた部分と、ポンコツな部分が同居する現状では、高度な自律性を備えた汎用ロボットを作成することはできません。

そのためコロンビア大学のリプソン氏らの研究チームはこれまで10年以上に渡り、ロボットに何らかの自己認識を与える方法を探索してきました。

リプソン氏は「ロボットが自分の体に対して自己認識を持てるようになれば、より良い判断を下すことが可能になる」と述べています。

たとえば車の自動運転を行うAIの場合でも、車体を自己の体として認識するAIと、そうでないAIを比較した場合、事故の確率は大幅に違ってくると予測されるからです。

しかし視覚レベルでの基礎的な「自己認識」であっても、ロボットに芽生えさせるのは簡単ではありません。

リプソン氏はいったいどんな方法で、ロボットに自己認識を持たせたのでしょうか?

次ページロボットの内面を視覚化する

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