355光年先の系外惑星の「直接撮影」にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が成功!
355光年先の系外惑星の「直接撮影」にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が成功! / Credit: NASA – NASA’s Webb Takes Its First-Ever Direct Image of Distant World(2022)
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355光年先の系外惑星の「直接撮影」にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が成功!

2022.09.07 Wednesday

アメリカ航空宇宙局(NASA)は今月1日、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)により”直接撮影”された太陽系外惑星の画像を公開しました。

天文学者はこれまでに、5000個以上の系外惑星を発見していますが、そのほとんどが、ドップラー分光法(※)やトランジット法(※)など、間接的な方法に依っています。

自発的に光らない惑星を直接撮影するには、主星の光をシャットアウトし、惑星の発する赤外線を捉えなければなりません。

この方法で過去に20個ほどの惑星が直接観測されていますが、JWSTによる系外惑星の直接撮影は今回が初めてのことです。

研究露文は現在査読前で、2022年8月31日付でプレプリントリポジトリ『arXiv.org』に公開されています。

※ ドップラー分光法:系外惑星の重力で、主星の位置がわずかにズレる様子を捉える検出法

※ トランジット法:系外惑星が主星の前を横切ることで生じる光の変化を捉える検出法

Here’s the James Webb telescope’s first direct image of an exoplanet https://www.sciencenews.org/article/james-webb-space-telescope-first-exoplanet-image NASA’s Webb Takes Its First-Ever Direct Image of Distant World https://blogs.nasa.gov/webb/2022/09/01/nasas-webb-takes-its-first-ever-direct-image-of-distant-world/
The JWST Early Release Science Program for Direct Observations of Exoplanetary Systems I: High Contrast Imaging of the Exoplanet HIP 65426 b from 2-16 μm https://arxiv.org/abs/2208.14990

赤外線の検出で系外惑星の「直接撮影」に成功!

JWSTにより撮影されたのは、地球からケンタウルス座の方角に約355光年離れた場所にある系外惑星「HIP 65426 b」です。

HIP 65426 bは、2017年7月6日に、チリ・パラナル天文台超大型望遠鏡VLTにより発見され、主星である「HIP 65426」の周りを公転していることがわかっています。

分析の結果、HIP 65426 bは、質量が木星の6〜12倍に達する「巨大ガス惑星」であることが判明しました。

しかも、惑星としては非常に若く、誕生してからまだ1500万〜2000万年しか経っていません。

加えて、主星からは100AU(天文単位:1AU=約1億5000万キロで、地球・太陽間の距離に相当)も離れており、主星の光から惑星像を分離しやすい位置にあります。

こうした特徴から、HIP 65426 bは比較的観測しやすく、JWSTの撮影能力を試すのに適した惑星と判断されました。

ケンタウルス座方向にある系外惑星「HIP 65426 b」(黄色)
ケンタウルス座方向にある系外惑星「HIP 65426 b」(黄色) / Credit: en.wikipedia

NASAの研究チームは今回、欧州宇宙機関(ESA)とカナダ宇宙局(CSA)の協力の元、JWSTによるHIP 65426 bの直接撮影を試みました。

JWSTが行ったのは、系外惑星が発する赤外線を捉えることです。

2017年のVLTのように、地上からの撮影ですと、地球の大気層が赤外線を吸収してしまうため、系外惑星を鮮明に捉えることはできません。

そこでチームは、2022年の7月17日と7月30日に、JWSTに搭載されている「近赤外線カメラ(NIRCam)」「中間赤外線装置(MIRI)」を用いて、HIP 65426 bの赤外線撮影を実施しました。

それぞれ2種類ずつのフィルターを使い、波長のことなる4つの赤外線を撮影して得られた画像がこちらです。

波長の違いで色分け(紫:3.0μm、青:4.44μm、黃:11.4μm、赤:15.5μm)
波長の違いで色分け(紫:3.0μm、青:4.44μm、黃:11.4μm、赤:15.5μm) / Credit: NASA – NASA’s Webb Takes Its First-Ever Direct Image of Distant World(2022)

左2つが近赤外線カメラ(NIRCam)、右2つが中間赤外線装置(MIRI)による撮影です。

画像の色は、赤外線の波長に応じて着色されており、白星マークは、主星のHIP 65426の位置を示しています。

左2つの画像は上下にブレたようになっていますが、これはNIRCamの特性によるものとのこと。

また、HIP 65426 bの光度は、主星に比べて非常に暗く、近赤外線では1万分の1以下、中間赤外線でも数千分の1以下の明るさしかありません。

そのためチームは、コロナグラフを用いて主星からの光を遮ってから、撮影を行いました。

コロナグラフとは、太陽面からの明るい光を遮って、弱い光のコロナを観測できるように設計された装置です。

本研究の成果について、研究主任の一人で、米カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UC Santa Cruz)の天文学者であるアーリン・カーター(Aarynn Carter)氏は「太陽系外惑星を直接撮影する装置として、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がいかに強力かを実証しました」と述べています。

今回の観測結果は、HIP 65426 bのより詳しい質量や大気の組成、惑星の形成プロセスなど、いまだ未解決の問題を明らかにする上で、非常に役立つと考えられています。

稼働を開始したジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した「驚くべき宇宙画像」

JWSTは、ハッブル宇宙望遠鏡の後継として、2021年12月25日に打ち上げられたばかり。

しかし、この短期間の間に、すでに多くの驚くべき天文画像を撮影しています。

JWSTの快進撃は、今後もまだまだ続きそうです。

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