オーストラリア近海で「正体不明の深海ザメ」が釣り上げられる
オーストラリア近海で「正体不明の深海ザメ」が釣り上げられる / Credit: Trapman Bermagui(facebook, 2022)
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2022.09.26 Monday

オーストラリア近海で「正体不明の深海ザメ」が釣り上げられる

先日、オーストラリア沖の海底から、不気味な笑みを浮かべた正体不明の深海ザメが引き揚げられました。

個体はすでに死んでいるものの、黒色のザラザラした皮膚に、大きなギョロ目と出っ張った歯が、まるでニタリと笑っているかのような表情を作り出しています。

最大の謎は、このサメが既知のどの種に属するのか不明であることです。

画像を見たサメの専門家の間でも、意見の一致が見られておらず、新種の可能性もあるという。

一体、このサメは何者なのでしょうか?

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沖縄にも生息するアイザメ科の一種か?

正体不明のサメは、今月12日、トラップマン・バーマグイ(Trapman Bermagui)という名前で活動している釣り師の男性により、オーストラリア南東・ニューサウスウェールズ沖の水深約650メートルから釣り上げられました。

その後、バーマグイ氏が自身のFacebookにサメの画像を掲載したことで、一気に世界中の人々の注目を集めています。

コメント欄では、このサメがどの種に属するかについて、様々な推測が寄せられました。

その中で最も多かったのは、ダルマザメ(学名:Isistius brasiliensis)です。

ダルマザメは、世界中の熱帯〜亜熱帯エリアの深海に分布しており、確かに今回のサメと同じように、大きなギョロ目を持っています。

しかし、歯や顔の形など、その他の形態的特徴から、バーマグイ氏は「明確にダルマザメではない」と断言しています。

ダルマザメ(学名:Isistius brasiliensis)
ダルマザメ(学名:Isistius brasiliensis) / Credit: ja.wikipedia

バーマグイ氏が候補として挙げるのは、深海ザメの一グループであるアイザメ科のオキナワヤジリザメ(学名:Centrophorus moluccensis)です。

アイザメ科は現在、アイザメ属(Centrophorus)とヘラツノザメ属(Deania)の2属、計18種が知られており、世界各地の深海に生息しています。

オキナワヤジリザメは、その名の通り、沖縄近海に分布し、今回発見されたオーストラリア近海にも存在します。

形態的な特徴も多くの点で似ていますが、引き揚げられたサメのような出っ歯ではありません。

しかし、この歯が釣り上げられるときの衝撃で飛び出ただけだとしたら、オキナワヤジリザメは候補としてかなり有力です。

オキナワヤジリザメ(学名:Centrophorus moluccensis)
オキナワヤジリザメ(学名:Centrophorus moluccensis) / Credit: ja.wikipedia

一方で、サメ専門家の中には、これに賛同できないとする声も多数見られました。

たとえば、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校(CSULB)にあるサメ研究所のクリストファー・ロウ(Christopher Lowe)所長は「オーストラリア沖で知られる深海性のヨロイザメ(学名:Dalatias licha)ではないか」と指摘します。

ヨロイザメも確かに、黒い皮膚と大きな目を持っていますが、ロウ氏は「標本の全体像を見ない限り、断定はできない。これまで見たことのない新種の可能性もある」と付け加えています。

ヨロイザメ(学名:Dalatias licha)
ヨロイザメ(学名:Dalatias licha) / Credit: ja.wikipedia

他にも、オンデンザメ科に属するユメザメ(学名:Centroscymnus owstonii)や、カラスザメ科(Etmopteridae)の一種ではないかという指摘がありま下が、明確な答えは出ていません。

それでも、一部の専門家の間では「おそらく、バーマグイ氏の見解が正しい」とする意見があります。

ニュージーランド国立水・大気研究所(NIWA)の海洋生物学者で、深海ザメを専門とするブリット・フィヌッチ(Brit Finucci)氏は「これはアイザメ科に属する可能性が高いでしょう」と話します。

「アイザメはかつて、ニューサウスウェールズ沖で肝油を得るため、積極的に漁獲されていました。

しかし、漁業による乱獲の結果、いくつかのアイザメ種はオーストラリアで絶滅の危機に瀕しており、保護対象となっています」

今回発見されたサメは、何らかの理由で損傷したアイザメと考えるのが妥当のようです。

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