9900万年前の琥珀から「毛がフサフサ」の新種カタツムリを発見!
9900万年前の琥珀から「毛がフサフサ」の新種カタツムリを発見! / Credit: Senckenberg – Hairy Snail Discovered in 99-Million-Year-Old Amber(2022)
paleontology

9900万年前の琥珀から「毛がフサフサ」の新種カタツムリを発見!

2022.10.27 Thursday

このほど、スイス・ベルン大学(University of Bern)をはじめとする国際研究チームは、約9900万年前の琥珀から、新種の陸生カタツムリを発見したと報告しました。

さらに、3Dデジタル復元を試みたところ、新種の殻に「短い剛毛」が生えていたことが明らかになっています。

カタツムリの殻といえば大抵、つるりとした綺麗な表面をしていますが、この新種は何のために毛を生やしていたのでしょうか?

研究の詳細は、2022年9月23日付で科学雑誌『Cretaceous Research』に掲載されています。

Hairy snail discovered in 99-million-year-old amber https://phys.org/news/2022-10-hairy-snail-million-year-old-amber.html
Archaeocyclotus brevivillosus sp. nov., a new cyclophorid land snail (Gastropoda: Cyclophoroidea) from mid-Cretaceous Burmese amber https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0195667122002233?via%3Dihub

フサフサの毛には何のメリットがあるのか?

琥珀が見つかったカチン州の「フーコン渓谷」
琥珀が見つかったカチン州の「フーコン渓谷」 / Credit: ja.wikipedia

新種が保存された琥珀は、ミャンマー北部カチン州にあるフーコン渓谷で見つかったもので、2017年以前に採集され、他の琥珀と一緒に今日まで保管されていました。

この陸生カタツムリ化石は、白亜紀中期の約9900万年前にあたり、東南アジアなどの温暖な地域に分布するヤマタニシ科(Cyclophoridae)の新種新属であることが判明しています。

新種の化石が保存された琥珀
新種の化石が保存された琥珀 / Credit: Senckenberg – Hairy Snail Discovered in 99-Million-Year-Old Amber(2022)

そこで研究チームは、新たな学名として「アーケオサイクロトゥス・ブレヴィヴィロサス(Archaeocyclotus brevivillosus)」と命名しました。

属名のアーケオサイクロトゥスは、「古代(Archaeo)」と「ヤマタニシ(cyclotus)」を合わせた造語で、種小名のブレヴィヴィロサスは、ラテン語の「短い・小さい(brevis)」と「毛深い(villosus)」に由来します。

つまり、「短い毛の生えた古代のヤマタニシ」の意です。

矢印で示されているのが「短い毛」
矢印で示されているのが「短い毛」 / Credit: Senckenberg – Hairy Snail Discovered in 99-Million-Year-Old Amber(2022)

顕微鏡観察により、サイズは縦21ミリ・横26.5ミリ・高さ9ミリであり、さらに、マイクロCTスキャンを用いた3Dデジタル復元の結果、殻の外縁に沿って、短い毛が生え揃っていることが確認されています。

それぞれの毛は、長さ150~200マイクロメートル程で、殻の最上部のタンパク質でできた「殻皮層(periostracum)」から生えていました。

「毛の生えたカタツムリなんて珍しい!」と思いきや、実はそうでもなく、現代にも短毛の生えたカタツムリは存在します。

現生の殻皮に毛をもつカタツムリの一例。カタツムリが毛を持つ理由は明確ではない。
現生の殻皮に毛をもつカタツムリの一例。カタツムリが毛を持つ理由は明確ではない。 / Credit:Wikipedia

たとえば、国内の本州や四国には、オナジマイマイ科の「オオケマイマイ(Aegista vulgivaga)」といって、殻の縁に沿って太く短い毛が生えている種が分布します。

研究主任のアドリアン・ヨッフム(Adrienne Jochum)氏は「こうした”装飾(decoration)”の発達は、珍しくはないものの、やはり複雑なプロセスであり、通常は目的なく起こるものではない」と指摘。

「陸生カタツムリではこれまで、別々の科の複数種で、毛の生えた殻を持つものが見つかっており、進化の過程で、遠縁のグループでも毛深い殻が独立して何度か生じたことを示している」と続けます。

琥珀中の化石の拡大写真(少し見えづらいが、毛が生えているのが確認できる)
琥珀中の化石の拡大写真(少し見えづらいが、毛が生えているのが確認できる) / Credit: Senckenberg – Hairy Snail Discovered in 99-Million-Year-Old Amber(2022)

ヨッフム氏は「これは決して偶然ではない」と主張し、「毛深い殻は、陸生カタツムリに進化上の利点をもたらしている」と推測します。

氏が指摘する「毛」のメリットは、以下の通りです。

「たとえば、殻に毛が生えていることで、植物の茎や葉にしがみつくグリップ能力が向上していると思われます。

これは、今日のカタツムリでもすでに確認済みです。

また、毛と毛の間に水滴を吸着させることで、乾燥を防いだり、体を冷やす体温調節にも役立っているでしょう。

それから、今回見つかった新種に関していえば、中生代の熱帯林の林床にあった強酸性の腐葉土から、殻を保護するのに有用だった可能性があります。

さらには、剛毛がカモフラージュの機能を果たして、昆虫や鳥などの天敵から身を隠すことができたかもしれません」

このように、カタツムリの毛にはいくつもの利点があると予想できますが、それを証明するには、現生種を用いた実証が必要でしょう。

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