手術せずに胃バイパスと同じ減量効果が得られる治療薬が誕生!
手術せずに胃バイパスと同じ減量効果が得られる治療薬が誕生! / Credit: canva
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手術せずに胃バイパスと同じ減量効果が得られる治療薬が誕生! (2/2)

2023.04.01 Saturday

前ページ薬の投与だけでどうやって体重が減るのか?

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「GEP44」が発揮した驚きの効果とは

実験では、肥満ラットを用いてGEP44を注射したところ、食事量を通常より最大80%も減少させることに成功しました。

そして16日間の試験終了時には、体重が平均12%減っていたのです。

これはリラグルチドを投与した肥満ラットの3倍以上の効果だといいます。

また重要な点として、リラグルチドとは対照的に、GEP44の投与では吐き気や嘔吐の副作用がまったく起きませんでした。

(ちなみにラットは嘔吐ができない動物であるため、この検証では代わりに嘔吐が可能なトガリネズミを用いています)

これについてドイル氏は「おそらく、複数の受容体を活性化したことで、副作用を引き起こす細胞内シグナル伝達経路が相殺されたためではないか」と推測します。

脂肪燃焼を促し、麻薬中毒を抑える効果も?

さらにGEP44は食事量の減少だけでなく、運動量や心拍数、体温の上昇といったエネルギー消費量の増加にも寄与することが分かりました。

投与するだけで脂肪燃焼の効果が得られたのです。

加えて、GEP44の体内での半減期(薬物濃度が半減するまでに要する時間)はわずか1時間程度でしたが、ドイル氏らは最近、より長い半減期を持つGEP44の設計に成功しました。

これにより、1日に何度も注射するのではなく、週に1〜2回だけ注射すればよいことになります。

少ない投与回数で効果も長持ち
少ない投与回数で効果も長持ち / Credit: ACS – Obesity treatment could offer dramatic weight loss without surgery or nausea(youtube, 2023)

GEP44の凄さはそれだけに留まりません。

調査の結果、GEP44を投与した肥満ラットは、グルコース(ブドウ糖)を筋肉組織の中に取り込み、燃料として使うことで血糖値を下げていることが判明しました。

それから膵臓にある特定の細胞をインスリン産生細胞に変え、糖尿病でダメージを受けた細胞の代わりをさせることでも血糖値を低下させていたのです。

つまり、GEP44は体重減少だけでなく糖尿病にも効果があると考えられます。

さらにダメ押しでもう一つ!

GEP44は肥満ラットにおいて、麻薬性鎮痛剤として知られる「オピオイド」への欲求まで抑えてくれることが分かりました。

もしこれが人体でも有効であれば、中毒患者が違法薬物をやめたり、再発を防いだりするのに役立つかもしれません。

チームは現在、GEP44の特許申請をしており、次のステップとしてヒトに近い霊長類を用いた臨床試験を予定しています。

その後、人体に対しても安全で副作用なく使用できることが確認されれば、肥満や糖尿病への画期的な治療薬となるでしょう。

こちらは研究チームが「アメリカ化学会 2023」で発表した内容の動画です。

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