空気から効率よく飲料水を作る技術
空気から効率よく飲料水を作る技術 / Credit:(左)Xiangyu Li(MIT)_Small, adsorbent ‘fins’ collect humidity rather than swim through water(2024 EurekAlert), (右)Canva
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砂漠の空気から1日1.3Lの飲料水が作れる新技術!被災地の活躍も期待! (2/2)

2024.06.29 Saturday

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銅板を挟み込んだ新しい水生成システム!従来の2~5倍の効率

研究チームは、排熱の利用だけでなく、さらなる効率化を求めて、新たなシステムを設計しました。

彼らの新システムでは、銅を利用した吸着フィンを採用しています。

新しい水収集システム。フィンの間に銅板が挟まっている
新しい水収集システム。フィンの間に銅板が挟まっている / Credit:Xiangyu Li(MIT)et al., ACS Energy Letters(2024)

フィンの表面には、従来通り、吸着剤としてゼオライトがコーティングされています。

そして薄いフィンを少しの間隔をあけて複数並べることで、湿った空気が接する面を広くし、効率的にを吸着できるようにしました。

加えてフィンの内部には銅板を挟み込んでいます。

フィンの加熱には排熱を利用しますが、銅板は高い熱伝導率と耐腐食性の点でメリットがあり、フィンの内部に銅板を挟み込むことにより、水の「吸着」と「加熱による放出」のサイクル効率が高まります

そして研究チームが概念実証のために行った実験では、約2mm間隔で10枚のフィンを並べた装置が使用されました。

空気から飲料水を生成する新システム。従来よりも2~5倍の効率
空気から飲料水を生成する新システム。従来よりも2~5倍の効率 / Credit:Xiangyu Li(MIT)_Small, adsorbent ‘fins’ collect humidity rather than swim through water(2024 EurekAlert)

この装置では、1時間以内にフィンの水分は飽和し、加熱によって水を放出できました。

24回の収集と放出のサイクルを繰り返すことで、湿度30%の環境下で、1リットルの吸着剤当たり、1日1.3リットルの飲料水を生成できると分かりました。

これは従来のシステムの2~5倍もの効率を実現していることになります。

さらに排熱を利用するため、エネルギー効率も非常に高いと言えます。

この新しいシステムが発展するなら、水不足が深刻な地域でも、飲料水を供給できるようになるでしょう。

特に、砂漠のような乾燥地帯では活躍するかもしれず、大きな期待が集まっています。

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砂漠の空気から1日1.3Lの飲料水が作れる新技術!被災地の活躍も期待! (2/2)のコメント

猫10匹

これをやってしまうと、その砂漠で生きている人間以外の生き物達が困る、いや…生きて行けなくなるのでは?

山桜

面白い記事です。装置の大きさ、重量が有れば尚真実味が有ります。次の記事を期待してます。

ひのぼぶ

廃棄物処理場からの、飲料水への毒物混入を真八している。米軍施設からも有害水が漏れ出ているとか。生活用水のなかでも、自前の飲料水の心配をしている。装置を購入すれば生き延びられるということか。しかし、装置を購入できない人は救われない。国が助けてくれるか?助けてくれる国をつくるか?

のぶ

乾燥した空気がより乾燥して、結局はその地域で生きていけなくなるのでは?
海の近くで、霧が発生する地域などでは有効かもしれないが、内陸部の真に乾燥した地域では、装置の稼働で、より乾燥が進む結果となるように思う

ゲスト

カビは廃熱で抑えられるだろうが塩分やミネラルが溜まったら使い物にならなくなる気がするがどんな対策があってメンテ無しでどれくらいもつんだろう

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