特級呪物!?焼き捨てた後は灰まで集めて管理されていた踏絵
![イエス・キリストの真鍮踏絵、多くの人に踏まれたことにより不鮮明な個所が目立っている](https://nazology.net/wp-content/uploads/2024/07/eabe9bfa9071336f0a0938ed3bb64eea-e1721981635581.jpg)
またこうした絵踏みに使われていた踏絵は、幕府や藩のもとで厳重に管理されていました。
例えば平戸藩(現在の長崎県平戸市)では幕府から真鍮踏絵を借りるにあたって、藩内で使われていた板踏絵などを焼き捨てており、その灰までも集めて処理していました。
なぜそこまで徹底的に管理されていたのでしょうか?
これは踏絵自体も信仰の対象物になる恐れがあったためです。それゆえ藩は、踏絵を処分後の灰まで管理していたのです。
このようなこともあって、踏絵を見ることは非常に難しく、たとえ藩主であったとしても簡単には踏絵を見ることができなかったのです。
また真鍮踏絵を持っていたのは幕府だけということもあり、幕府から真鍮踏絵を借りない藩では従来の板踏絵が使われていました。
しかし先述したように板踏絵は何度も使われるうちにどんどん劣化してしまいます。
また禁教政策が定着したことにより新しい踏絵を調達することも困難になっていたため、替えの効かない板踏絵は行政的な道具として大切に保管されるようになったのです。
こういったところにも、江戸時代独特の価値観が窺えます。