ブラックホールの謎の上を行く「ホワイトホール」って何?

space 2019/03/12
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Point
■ホワイトホールはブラックホールとは反対に、事象の地平線内部には何物も侵入できない
■現時点でホワイトホールは観測されておらず、純粋に理論上の存在とされている
■時間を反転させることが出来ない以上、形成は不可能で、宇宙誕生時にすでに存在していたとしてもすでに消えている可能性がある

ブラックホールの謎は宇宙好きを惹きつけてやみません。死んだ星の核が崩壊したものですが、入った物質は決して出てこれないという性質はよく知られていますね。

私たちの知る限りでは、ブラックホールは密度がとても高く、事象の地平線からは何も逃れることはできません。しかし、宇宙の「ホール」はブラックホールだけではないのです。

ブラックホール周辺の時空を数学の知識を使って探索し、その計算から崩壊した星の物質と質量を引いてみましょう。その残ったものからできた数式が表現している、質量のない特異点を「ホワイトホール」と呼びます。

理論上はブラックホールとは間逆なホワイトホール

名前から連想できるように、ホワイトホールはブラックホールとは真逆です。天体物理学者たちがこの概念を使って研究を始めたのは1970年代からです。

ブラックホールの事象の地平線が、光さえも脱出速度に達することの出来ない境界であるなら、ホワイトホールの事象の地平線は何物も中に入ることの出来ない境界です。

ブラックホールからは脱出できませんが、ホワイトホールには決して入ることはできません。なので、ブラックホールが物質を飲み込むのに対して、ホワイトホールは物質を吐き出すのです。ホワイトホールは驚くほど明るくエネルギーも高いはずで、恐ろしい速度で放射線を放出するでしょう。

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理論的にはブラックホールの巻き戻しボタンを押したようなものです。

スタンフォード哲学百科事典でエリック・クリエルが書いていることを参照してみますね。「一般相対性理論の場のアインシュタイン方程式が、時間の向きを限定していないので、ブラックホールの形成が時空と重力の法則によって許されているなら、同じ法則によってホワイトホールも可能となる」とのことです。

ホワイトホールがどのように形成されたかは謎

ですが、ホワイトホールが実際に観測されたことはありません。物理学者たちは宇宙にホワイトホールは存在できないのではないかと考えていて、その理由もいくつかあげられています。

大きな疑問の一つは、どのように形成されるのかというものです。ブラックホールの形成については納得のできるモデルがあります。しかし、ホワイトホールを作るために宇宙の時間を巻き戻すことは、不可能に思えます。

まず、特異点から初めてそれを巻き戻してみると、それは物質を吐き出し続け、最後にそれ自身が星へと生まれ変わります。それには、エントロピーの減少が必要なはずで、熱力学第2法則に違反します。

特異点から考え始めるのは得策ではなさそうです。

「特異点を実際の宇宙に生まれたとさせる唯一の方法は、はじめから存在したとすることです。宇宙の形成がすでに存在した特異点とともにあった必然性をなんとかして導くのです。しかし、宇宙がすでに存在した特異点とともに始まったことを示す理由は全くありません。もしそうであったなら、おかしなことになります」と天体物理学者カレン・マスターズは言います。

とりあえずここでは、そういったことを無視して、ホワイトホールがどこかで生まれたと仮定しましょう。数学によると、ホワイトホールを含む時空内に物質はありません。その領域に物質が入ると、それがどんなに小さな粒子であったとしてもホワイトホールを保持することはただちにできなくなります。

なので、もしホワイトホールが今までに存在したとしても、おそらく急速に消えていっただろうと思われます。もし宇宙に最初からホワイトホールがあったとしても、地球上の生命が原始の海から湧きいでる前の、数十億年昔にはかき消えてしまっているでしょう。

しかし、現在ホワイトホールは純粋に理論上の存在なのですが、ブラックホールもつい最近になるまでは、理論上の存在に過ぎませんでした。

仮説は数あれど、現段階では数学的な可能性にとどまっている

実際、科学者たちがホワイトホールの候補として挙げる天体イベントもあります。それは、ガンマ線バーストです。宇宙で最も明るく、最もエネルギーをもったイベントで、ほんの10秒の間に太陽が放射する100億年分のエネルギーを放射します。

ガンマ線バーストは残光を伴いますが、それは、星の爆発によって作られることを示しています。2017年にはこの現象が起こっているのが確認されていますが、それは2つの中性子星の衝突によって引き起こされたものです。

しかし、2011年には二人の天体物理学者が、ガンマ線バーストの持つ普通でない特徴はホワイトホールであることを示しているのかもしれないと提唱しています。

一方NASAの天文学者はブラックホールの形成プロセスである可能性のほうが高いと考えており、実際にはホワイトホールであるという可能性は極めて低いと言えるでしょう。

もっとぶっ飛んで見えるアイディアもあって、それはビッグバンそのものがホワイトホールであったというものです。このアイディアも数学的に探求されていますが、理論上にとどまっています。

ビッグバンという用語そのものが、誤解を生んでいるのかもしれません。現在の主要な理論によれば、宇宙は一つの点から爆発的に現れたのではなく、存在を膨らませたもので、星間物質イオン化し光が現れるまでは暗闇の中で5億年もの間あまり広がっていません。ホワイトホールのモデルとは全く異なっているのです。

さらなる説としては、ホワイトホールはブラックホールの寿命がつきた後に変化したものであるという仮説があります。

ブラックホールの寿命は極めて長く、その進化がおきるまで宇宙が存続していない可能性があります。もしくは私達が目にする前に消えているかもしれません。あるいは、出来ているけれど非常に小さい原始ブラックホールから進化したもので、現在の暗黒物質を形成しているかもしれません。

これらはすべて数学的な可能性であり、私達が実際に生きている宇宙ではまだ観測されてはいません。

もしホワイトホールが見つかったとすれば、宇宙に関する理解を真剣に考え直す必要があることになりそうです。そう考えるとワクワクしてきませんか?

ブラックホールに飛び込んだ物質は「未来の宇宙」に放出されるという新理論が発表

reference: Science Alert  / written by SENPAI

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