UVチェックできる石って知ってる?色が変化する鉱物の世界

science_technology 2019/09/14

Point
■ハックマナイトに太陽の光を当てると、ラベンダーカラーから濃い紫色へ変化した
■蛍光物質が含まれる鉱物は、ブラックライトをあてると2倍楽しめる
■ルビーなど、紫外線によって美しさが左右される宝石がある

秋が近づいているとはいえ、まだまだ強い日差し。紫外線に弱い筆者は、いつも対策に頭を悩ませています。

そこで今回は所持する鉱物コレクションの中から、「UVチェックができる石」をご紹介したいと思います。

まずは、百聞は一見に如かず。

こちらの石、室内に置いているときは、ラベンダーカラーです。

しかし太陽の光にあてると…

すーっと、濃い紫色に変わりました!

今度は、動画で色が変わっていく様子をリアルタイムで見てみましょう。

この日の天候は、ときどき雲がかかる晴れ。日なたにいると汗ばみますが、我慢できるくらいでした。

動画では、少しずつ色が変わっていますが、太陽がギラつく真夏の場合は一瞬にして濃い紫色に変わりますし、冬の曇りの日は、もっとじわじわと色が変わります。

この石の名前は「ハックマナイト」。発見者であるフィンランド人の地質学者、ビクトル・ハックマンにちなんで名づけられました。アフガニスタンやパキスタンで産出する石で、鉱物の分類でいうと、ソーダライトの仲間です。

色が変わる鉱物にはどんなものがある?

色が変わる鉱物といえば有名なのが、アレキサンドライトです。

太陽光や蛍光灯の光をあてると青緑色に変化しますが…

白熱電球やろうそくの光をあてると赤紫色に変化します。

鉱物好きの方なら、同じような性質で色が変わるカラーチェンジガーネットや、カラーチェンジサファイアもご存じかもしれませんね。

ハックマナイトは色が変わる鉱物の中でも変わり者

ハックマナイトはアレキサンドライトなどと異なり、紫外線を吸収して変色し、紫外線を遮断した環境におくと、またもとに戻る性質を持っています。何度でも楽しめるんですよ。

これは、「テネブレッセンス効果」と呼ばれますが、科学用語としては、「ファトクロミズム現象」ともいいます。珍しい、ハックマナイトならではの特徴です。

色の変わり具合は個体差があり、色がよく変わる石ほど元に戻るのも時間がかかります。筆者の所持している石はぱっと見て色の差がわかりますし、紫外線が強い日ほど濃い色に素早く変化するため、UVチェッカーとして使えるのではないかと思っています。

価格に関しては、はっきり色の変わるものほど高価ですが、標本レベルなら1000円台で入手可能ですよ。

透明タイプは色の変わり方が違う

さて、ハックマナイトですが、ご紹介した半透明のタイプなものだけでなく、宝石質の透明タイプもあります。

ただ、透明タイプは、基本的に半透明なタイプのようにはっきりと色が変わりません。宝飾品としての美しさをとるか、色変わりの面白さを重視するかは好みといったところ。

とはいえ、透明タイプも暗いところで紫外線をあてると、蛍光を発する特徴を持っています。

それでは、紫外線をあててみましょう。

ブラックライト~。

水色がかった色のハックマナイトが、ピンク色に蛍光しました!

さまざまな鉱物にブラックライトをあててみよう

ブラックライトをあてるとなぜ光るのかというと、その鉱物に蛍光物質が含まれているからです。蛍光物質は、ある波長の光を吸収すると、それとは違う波長の光を放出する性質のある物質のこと。

紫外線は波長が100nmから400nmの範囲の光のことを指しますが、ブラックライトは紫外線のうち、UV-A領域( 315~400nm)の紫外線を放射することができます。

実はこのように紫外線をあてると蛍光する鉱物は多数あります。そこで、家にある鉱物たちにブラックライトをあてていきました。

まずはダイヤモンド。こちらのペンダントトップには7つの石がセッティングされていて、蛍光灯の下だとどれも同じように見えます。

ところが、ブラックライトをあてると、2つの石だけ青白い蛍光色を発しました!

次はスピネル。原石2つ、ルビースピネル、レッドスピネル、コバルトスピネル、ブルースピネル…とスピネルを1つのケースにまとめています。

ブラックライトをあてると、原石とレッドスピネルが赤く蛍光しました。

今は閉山してしまった、ロジャリー鉱山のフローライト。蛍光灯の下では緑色をしています。

ブラックライトをあてると、蛍光を発しつつ、青い色に変わりました。

こちらは、鉱物自体が光るわけではないですが、パキスタン産のオイル・イン・クォーツという石。水晶が形成されるときに、石油がとじこめられています。

オイルの部分が青白く光っていますね。

ルビーの美しさは紫外線に左右される

紫外線で蛍光するということは、宝石の美しさに影響を与えるケースもあります。有名なのがルビー。ルビーの産出地として最高峰といわれる、ミャンマーのモゴク地区のルビーは、強い蛍光を発するのだそう。

小粒ですが、下の画像右のルビーはピジョンブラッドカラー、非加熱、ミャンマーのモゴク産という、3点が揃ったルビーです。なお、ルビーやサファイアのようなコランダムは、一般的に美しくするために加熱するので、それをしなくても美しい非加熱はコレクターが求める要素のひとつなんです。

右が蛍光の強い、ミャンマーモゴク産のルビー

ブラックライトにあてて、比較してみました。右のルビーは鮮やかに赤く光っています

いっぽうで、左のルビーは蛍光していません

ルビー(蛍光なし)

また、右側のモゴク産のルビーは、太陽光のもとでも紫外線に反応して、紫がかった鮮やかな色になり、うるんだような質感になります。

紫外線が強いほど鮮やかに見えるので、ミャンマーのような日本よりも紫外線の強い国でルビーを買って、帰国してみてみると、「あれ、もっと輝いていたはず…」ということがありえます。お土産で買うときは要注意ですよ。

ブラックライトをあてると、違った世界が見える

家にあるさまざまなものをブラックライトで照射してみると、ちょっと変わった世界が見えて面白いです。

コレクションケースを照らしてみると、意外なものが蛍光を発していて、蛍光灯の下と雰囲気が変わります。

イギリス製のビンテージの指環についたルビーだけ蛍光している。
すべてダイヤモンド。ビクトリア時代の指環のダイヤだけ強い蛍光を発している。ちょっと得した気分…。

また、昔のガラス製品にも蛍光を発するものがあり、食器や理科の道具の解剖びん、ボタンなどが知られています。

こちらはウランガラスでできた、ビンテージのボタンです。

ブラックライトをあてると、緑色に蛍光します。

ブラックライト活用法

ちなみに、ブラックライトはものを蛍光させて楽しむ以外にも活用法があります。紫外線をあてると固まるレジン細工や、ジェルネイルで使用している方もいるのではないでしょうか。

さらに、犬や猫がオシッコをした場所が乾いてわからなくなってしまっても、ブラックライトをあてると光るので、突き止めることが可能。同様に、人間のトイレでも、ブラックライトをあてると、オシッコをはねさせてしまったのが一目瞭然だとか…。

奥さんから「立ってオシッコをしないで」と言われ、「キレイに使ってるから大丈夫だよ」と適当に返している旦那さん。油断していると、奥さんがブラックライトを持った『科捜研の女』に変身して、証拠をつきつけられるかもしれませんよ!

血液が薬品で光る、「ルミノール反応」のように蛍光。某映画館のトイレにて、十数個の個室を出たり入ったりしてブラックライトをあてまくる怪しい人と化す。
written by ofugutan

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