ホタルを食べてその毒性を獲得するヘビ「ヤマカガシ」

animals_plants 2020/02/25
日本の島「伊島」で発見されたヤマカガシ/Credit: Alan Savitzky
point
  • これまでの研究で、「ヤマカガシ」は、ヒキガエルを食べることで毒を獲得していることが分かっていた
  • 今回、ヒキガエルではなく、ホタルの幼虫を食べることで同じ毒性を獲得するヤマカガシが発見された

東南アジアに生息する毒ヘビ「ヤマカガシ」には、獲物を食べることで毒性を獲得する能力があります。

これまでの研究で、ヤマカガシが標的にする獲物は、主にヒキガエルであることが分かっていました。

今回は京都大学やユタ州立大学などの共同研究により、ホタルを食べることで毒性を獲得するヤマカガシが発見され、そのメカニズムが明らかにされました。

研究主任のアラン・サヴィツキー教授は「ヤマカガシが、毒成分を持つ獲物を脊椎動物から無脊椎動物に変えても、毒性を獲得できることを証明した初めての事例だ」と述べています。

本研究には、京都大学、琉球大学、日本大学、中国科学アカデミーなども参加しており、詳細は、2月24日付けで「PNAS」に掲載されました。

Dramatic dietary shift maintains sequestered toxins in chemically defended snakes
https://www.pnas.org/content/early/2020/02/18/1919065117

カエルに毒を借りている?

生物界は主に、食べる側と食べられる側に分かれる一方で、大半はその両方の立場にあります。こうした生物にとっては、獲物を狩る能力に加えて、捕食者から身を守る能力も兼ね備えていなければなりません。

その中で、攻撃と防御のバランスを絶妙に取っているのが、ヤマカガシです。

ヤマカガシはとても変わったヘビで、体内に2タイプの毒を持っています。

1つ目は口内毒で、唾液腺が変化した「デュベルノア腺」から毒液を分泌して、牙に毒を仕込みます。この口内毒は、ヤマカガシ自身が分泌する毒成分です。

Credit: miraikan(イラスト提供:京都大学 准教授 森哲)

そして、2つ目の毒は、首もとにある「頸腺」から放出されます。これはヤマカガシが分泌するものではなく、ヒキガエルから摂取した「ブファジエノライド」という毒成分です。

ヒキガエルは、敵に攻撃されると、耳のあたりから白い毒液を分泌し、相手の皮膚に激しい炎症を引き起こします。ヤマカガシは、そのヒキガエルをあえて食べることで、自らの毒腺にブファジエノライドを蓄えているのです。

口内毒とは違い、頸腺毒は天敵から身を守るための防御用として機能します。

「ホタル」から毒を吸収するヤマカガシを発見

京都大学内の芦生研究林でヤマカガシを観察するサヴィツキー教授/Credit: Kyoto University

面白いのは、ヤマカガシの母親がすでにヒキガエルの毒を持っていれば、その子供はヒキガエルを食べなくても頸腺に毒を持っていることです。

ヤマカガシはヒキガエルのみを外部毒として摂取しています。ヒキガエルのいない場所に住むヤマカガシには頸腺はあるものの、毒はありません。

ところが今回、研究チームはヒキガエルでなく、ホタルの幼虫を食べることで同じ毒成分を獲得するヤマカガシを発見したのです。

両者の毒成分は似ている/Credit: PNAS

ヤマカガシは、普通ホタルを食べませんし、栄養的な面からもヒキガエルには到底およびません。しかし、調査の結果、確かにホタルの幼虫は、体内でヒキガエルに似た毒成分を分泌していることが判明しました。

いかにしてホタルにヒキガエルと同じ毒成分があることを知ったのかはまだ分かっていません。しかし、ヤマカガシが、外部毒としてヒキガエルの代わりに昆虫を用いたという点では、初の観察例となっています。

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【編集注 2020.02.27.10:20】
記事内容に一部誤りがあるとご指摘をいただいたため、お詫びして訂正いたします。
reference: zmescienceeurekalert / written by くらのすけ
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