右半身がメスで左半身がオスの「ハチ」が発見される

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向かって左半分がメス、右半分がオス/Credit: Chelsey Ritner / Utah State University
point
  • 体の右半分がメスで、左半分がオスのハチが見つかる
  • これは「雌雄モザイク」と呼ばれており、極めてまれにしか見つからない

スミソニアン熱帯研究所(STRI)が2018年に発見したハチが、右半分はメス、左半分はオスという非常に珍しい個体であることがわかりました。

このハチの顔の右半分は、通常メスに見られるような大きなアゴで、左半分はオスに見られる繊細で小さなアゴだったのです。

また顔だけでなく、全身も右側がメス、左側がオスとなっており、まるで半分に割ったオスとメスを互いに縫い合わせたかのようです。

これは「雌雄モザイク」と呼ばれる極めてめずらしい現象で、同じ個体の半分がオス、もう半分がメスになる状態を指します。

今回発見されたハチは、「Megalopta amoena」というコハナバチ科の一種であり、この種で雌雄モザイクが見つかったのはこれが初のことです。

研究の詳細は、2月27日付けで「Journal of Hymenoptera Research」に掲載されました。

The first gynandromorph of the Neotropical bee Megalopta amoena (Spinola, 1853) (Halictidae) with notes on its circadian rhythm
https://jhr.pensoft.net/article/47828/

母系社会がメスを強くした

ハチの世界は、一般的に、メスが権力を握る母系社会になっています。女王バチを筆頭に、食料調達や花粉の運搬、巣の建設、子どもの世話など、重要な仕事はすべてメスが請け負います。

この社会構造により、ハチのメスは、堅い樹皮を削るための強靭なアゴ、花粉を捉えるための多毛の後脚、攻撃や防御のための鋭い針を発達させたのです。

一方で、オスは交配以外にほぼ役に立つ仕事をしません。そのため、身体も小さく、大きなアゴや針もないのです。

向かって左がメスのアゴ、右がオスのアゴ/Credit: jhr.pensoft

一方で知りたいのは、雌雄モザイクのハチがどのようにして生まれるかについてです。

これに関して、シドニー大学のベンジャミン・オルロイド氏が、数年前に見つかった別の雌雄モザイクのハチの遺伝子分析(論文、2018)をもとに、ある見解を述べています。

氏によると、「雌雄モザイクのハチは、受精と胚の発生過程における偶発的な事故が原因」とのことです。

雌雄モザイクは「受精ミス」が原因?

性別の決定は、種により少し異なります。

例えば、ヒトでは、両親か1つずつもらった2つの染色体により決められ、ともにX染色体であれば女性に、XとYであれば男性になります。

しかし、ハチの場合は違っていて、オスとメスが交配してできた受精卵から生まれるのはすべてメスです。一方、ハチは未受精卵でも子孫を残すことができ、こちらからは必ずオスが生まれます。

ハチのオスは、もとから父なしで、メスの半分の染色体しか持ち合わせていないのです。つまり、ハチの性別は、遺伝情報の量によって決まるとも言えます。

左と右で大きさが違う(向かって左がメス、右がオス)/Credit: jhr.pensoft

ところが、オルロイド氏は「極々まれに、すでに受精した(メスになる予定の)卵子に、2番手の精子が潜り込んで、自分自身をコピーし始める」と述べます。

これにより、1つの受精卵の中で、2つの非対称な系統が生まれ、その各々が胚の半分ずつを占め始めます。1つは、オリジナルの精子と卵子が結びついたもの、もう1つは、2番手の精子からのみ生まれた偶発的なものです。

この2番目の精子は、受精する卵子がないため、オスの細胞が残って、成長するというわけです。

「こうした偶発的な二重受精が、ハチの雌雄モザイクの秘密ではないか」とオルロイド氏は推測します。

足の太さや毛の量も違う(左がメス、右がオス)/Chelsey Ritner / Utah State University

他方でこの仮説が、今回発見された「Megalopta amoena」にも当てはまるかどうかは不明です。

遺伝子分析には解剖が必要ですが、この1匹しか見つかっていないため、それもできません。

発見された個体はすでに死んでいるため、普通のオスやメスと何か異なる特性を持つのかも謎に包まれています。

下腹部の拡大図(左がメス、右がオス)/Credit: jhr.pensoft

しかし、スミソニアン熱帯研究所は、雌雄モザイクのハチが死ぬ前に、睡眠サイクルを調べることに成功しています。

それによると、普通のオスやメスの個体よりも睡眠時間が短く、早く目覚めてエサを探し始める習性を持っていたようです。

ですが、観察例がこの1匹しかいないので、雌雄モザイクに特有の習性か、それとも単にこの1匹が早起きだったのかは分かりません。

雌雄モザイクの秘密を解明するには、もう数匹ほど見つける必要があるようです。

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reference: smithsonianmag / written by くらのすけ
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