同種を食べるクモは早死にする?
これは、実験でも証明されています。
研究チームは、アラスカと同じ生息環境を準備し(メソコスムという実験方法)、その密閉された空間の中で、採取したコモリグモを放しました。
この際、コモリグモの数を増やし、高密度の環境下にさらすことで、食生活や数にどのような変化が起きるかを調べています。実験は、「大きなメスがいる空間」と「通常のメスがいる空間」が準備されました。
その結果、前者の方で、メス親の捕食により、幼生の数が減っていることが判明したのです。
非情な行動にも思えますが、この行動は、種全体の存続のために、仕方なく個体数を調整する手段なのかもしれません。
しかし、コルツ氏は「長い目で見ると、カニバリズムは、種の生存に不利かもしれない」と指摘します。
というのも、研究では、同種の食べるコモリグモは、虫など普通のエサを食べる個体に比べて、早死にすることが分かっているのです。
コモリグモたちがそれを理解しているわけもなく、温暖化が続けば、さらにカニバリズムを激化させる危険性があります。
子ども想いのコモリグモも、このままでは「コグイグモ」に改名されてしまうかもしれません。
研究の詳細は、5月4日付けで「Journal of Animal Ecology」に掲載されています。