
- 歴史上、動物の異常行動と地震を結び付けた多くの記録がある
- 動物の異常行動と地震の発生をはじめて科学的に検証され強い関連性が示された
- 動物の異常行動がはじまる時間と震源地からの距離の関係を利用して人類初の生物学的地震予知に成功した
現在の機械的な測量技術では、いつどこで地震が発生するかを予想できません。
専門家のなかには、地震の発生を正確に予測できるとする考え自体が間違いであると考える人もいます。
しかし、多くの目撃者が時代を超えて、巨大な地震の前に動物たちが異常な行動をとると報告しています。
最も古い文献では、紀元前373年のギリシャのものであり、伝えるところによれば、大地震が起こる数日前に、家からネズミ、イタチ、ヘビ、ムカデが逃げ出したとあります。
またポンペイの火山遺跡(西暦79年の火山噴火で壊滅)から見つかった絵には上の図(左)のように「落ち着きのない2匹の鳥」「興奮して暴れる蛇たち」「吠える犬」が描かれています。
さらに1976年に中国で発生した唐山地震の前には、2000を超える動物の異常行動が報告され、上の写真(右)のように犬が狂暴化し、ネズミが電線を渡って逃げていく様子も写されました。
そこで、マックスプランク動物行動研究所およびコンスタンツ大学の研究者は国際協力プロジェクトを発足させ、牛、羊、犬が実際に地震の初期兆候を検出できるかどうかを科学的に調査しました。
結果は…科学が「オカルト」を証明する事態になってしまったようです。
「動き」「感情」に次いで「触覚」の情報コード化に成功

地震発生前の動物たちの異常行動については、数多くの報告が存在するのは事実です。
しかし、そもそも「異常」の定義があいまいであり、観察期間も観察方法も定量化されたものではありませんでした。
そのため長年、科学者たちは、地震と動物の関係はオカルトに過ぎないと考えてきたそう。
しかしドイツ、コンスタンツ大学のウィケルスキー氏らは、数々の記録を無視する科学者たちのほうこそが「オカルト」であると考え、大規模な実験を行ったとのことです。
ウィケルスキー氏はオカルト情報を元に、以前の地震で異常行動をみせたと言われた13匹の動物(牛6頭・羊5頭・犬2匹)の首輪に加速度計を取り付け、地震多発地帯と言われるイタリア中部で数か月に渡る観察を実施しました。
この期間中、該当地であるイタリア北部では18000件の地震が計測され、そのうち震度4以上の強度は12回あったそうです。
また客観的な基準を確立するためにウィケルスキー氏は動物の昼夜の行動を元に「異常」な動きを定量化し、統計的な処理を行いました。

結果、地震発生の最大20時間前に動物たちの異常な行動が記録され、震源地に近いほど異常行動があらわれる時間が早いことが判明しました。
科学がオカルトを証明した瞬間です。