トマトはお互いに「電気信号」を送り合っていることが判明! 地中の菌が植物の会話を伝えているかも

animals_plants 2020/07/13
Credit: University of Alabama in Huntsville
point
  • トマトは地中の根っこを介して互いに電気信号を送り合っていた
  • コンピューターモデルを用いたシミュレーションにより判明
  • 地中に存在する「菌根菌」が電子回路の役割を果たしていた

植物の生体内には、さまざまな電気信号(=生体電位)が流れており、それを調べることで、植物が快適に感じる光の強さや光を当てるタイミングなどが分かります。

一方で、これは一植物内の話であり、植物間に適応できるかどうかは不明でした。

ところが今回、トマトを用いたコンピューターモデル研究により、植物は土壌内で互いに電気信号を送り合っていることが判明したのです。

植物たちは、地中で一体どんな会話をしているのでしょうか。

モデルを使ってシミュレーション

Credit: pixabay

研究は、米・アラバマ大学ハンツヴィル校、電子・コンピューター工学科のユーリ・シュテッセル博士とオークウッド大学の生化学者アレクサンダー・ボルコフ博士により行われました。

シュテッセル氏は制御工学を専門とし、本研究ではコンピューターモデルの作成を担当しています。一方のボルコフ氏は、植物(および植物間)における電気信号の伝播の仕方に関する研究を行なっています。

両氏が初タッグを組んだのは2017年のことでした。

シュテッセル氏は「私たちは以前から、茎を通した植物内の電気信号土壌を通した植物間の電気信号の伝播の仕方について議論していました。そこで今回、電気信号の伝播プロセスを正確に再現するコンピューターモデルの作成を提案したのです」と話します。

コンピューターモデルは、実際に植物を用いる実験よりも費用や時間を大幅に削減できますし、さまざまな条件でのシミュレーションが可能です。

地中の「菌」が伝導体になっていた

今回は、トマトの生体電位や土壌環境など、実際のデータを細かく取り入れてシミュレートしています。

最初の実験で、トマトの根っこ同士を別の土壌に隔離してみたところ、トマト間のインピーダンスが大きくなり、電気信号が伝わりませんでしたインピーダンスとは、交流回路において電流の流れを妨げるもので、「電気の流れにくさ」くらいに理解すれば良いでしょう。

しかし別の実験で、トマトを同じ土壌中に置いてみると、インピーダンスがぐっと小さくなり、根っこが電気信号を送り合っていました。

その際に電気信号の媒介をしていたのが、地中にあまねく存在する菌根菌(Mycorrhizal fungi)でした。

菌根菌は、植物と共生する菌類であり、地中に張り巡らした菌糸を植物の根っこにくっつけて菌根を作ります。この菌根菌が、いわゆる電子回路の働きをして、電気信号が交換されていたのです。

シュテッセル氏は「植物が地中の菌根菌ネットワークを介して、同種だけでなく異種間でのコミュニケーションをしている可能性もありうるでしょう」と指摘しています。

ブナ科の樹林に生えるテングタケ科のコテングタケモドキ(菌根菌)/Credit: ja.wikipedia

それでも、やり取りされるメッセージがどんな内容なのかは分かりませんし、植物が受け取った電気信号を正しく認知しているのかどうかもまだ憶測の範囲です。

それから両氏は、「地中でなく空気中を介した電気信号のやり取りは可能かどうか」という点にも興味を持っており、研究を続けていくとのことです。

トマトたちは、電気信号を交換して、お互いの健康チェックでもしているのでしょうか。

研究の詳細は、4月28日付けで「Communicative & Integrative Biology」に掲載されています。

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reference: phys / written by くらのすけ
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