星のソムリエ®が選ぶ、今月の星の見どころベスト3【2020年8月】

science_technology 2020/07/31

今年の梅雨は長く、中休みもないというタイミングが悪い中、「ネオワイズ彗星(C/2020 F3 (NEOWISE))」の接近はセンセーショナルな天文ニュースでした。

そこで、先月の「今月の星の見どころ」の『特別版』の記事で、「ネオワイズ彗星の見られる日と位置」や、「彗星とはどんな天体か」というお話をさせていただいています。

また、その特別版の記事での予告通り、ネオワイズ彗星を写真に収めることに成功したため、本記事の後半でレポートとともに掲載いたしました。

8月はようやく雨の季節が終わり、天体観測のシーズンが戻ってきそうですね。それでは、「星のソムリエ®が選ぶ、今月の星の見どころベスト3【2020年8月】」をご紹介します。

Best3.12日(水)ペルセウス座流星群が極大に

流星群の中でもっともポピュラーで、毎年注目されるのがペルセウス座流星群です。国立天文台の情報によると、今年ペルセウス座流星群が極大を迎えるのは8月12日(水)の22時頃と予想されています。

そして、気になる当日の月は下弦で、半月より少し細いくらいです。

極大を迎える22時頃は、流星の出現ポイントとなる放射点の高度はまだ低いのですが、月はまだ出ていません。そこで、早めの時間から観測するのも1つの手です。

Credit: 国立天文台

ただ、流星の出現数が多くなるのは、夜半過ぎ(13日の0時頃)から明け方までです。

この時間は月明りがあるものの、もっと満月に近い年もあるので、まずまずの条件と言えます。また、ペルセウス座流星群は明るい流星が多いので、月明りがあってもほかの流星群より見えやすいのもポイントです。

放射点の探し方ですが、都会の場合、ペルセウス座はα星の「ミルファク」と、以前「変光星」の記事で取り上げた「アルゴル」くらいしか見えず、探しにくいので、「カシオペヤ座付近」というざっくりした捉え方で大丈夫です。

それに、流星は放射点だけに現われるわけではないので、月を見るのは避けて空の広い範囲を見渡すようにしましょう。

なお、空の暗い場所で観察した場合、流星は最大1時間あたり30個ほど見られるのではとのこと。

筆者は子どもの頃にレジャーシートに寝転がって一晩中観測したことがありますが、100個近く見た記憶があります。ベランダや庭にレジャーシートを敷いたりリクライニングチェアを置いたりして、ゆったり観察するのがオススメです。

3位にした理由

Good!:11日(火)の夜から13日(木)の夜までと、3日間観測が狙えて、期間が長いので。また、知名度が高いので話題にしやすい。

Bad!:ぱっと見たい短気な方には不向きなのと、平日なので徹夜は厳しい。ただ、お盆期間なのでお休みの方はお子さんと一緒に自由研究のネタにしてもいいのでは。

Best2.2日(日)、29日(土)見頃の土星&木星と月の3天体が共演

AstroArtsの情報によると、8月2日(日)の夕方から3日(月)の明け方まで、月齢13の満月に近い月と土星が視野5度内まで接近するそうです。

Credit: ofugutan

また、2日より若干離れますが、8月29日(土)の夕方から30日(日)の明け方にかけても、月齢11の月と土星が接近するとのことですよ。

Credit: ofugutan

近くには木星もあるので、明るい3つの天体が集合する様子が見られます。

土星も木星も先月の半ばに、もっとも明るく高度が高くなる「衝」を過ぎたばかりなので、観測ベストシーズンと言えるでしょう。

肉眼でも目をひくと思いますが、双眼鏡で見たり、写真に撮ったりするとより楽しめそうです。

Good!:都会でも簡単に見つけられて、土日なので日程的にも観測しやすい。

Bad!:今年は2日だとまだ梅雨明けしてないところがあるかも。

ちなみに、「月と惑星の共演」というと、9日(日)の23時過ぎから10日(月)の明け方にかけて、月齢19の半月になる少し前の下弦の月と、火星が視野5度内に接近するのが見られます。

今年の火星は10月に準大接近を迎えるので、いよいよ明るさを増して-1.3等級になっているのだとか。見た目にも大きく、赤く輝く星に驚くかもしれませんね。

連休中で観測しやすそうなので、こちらも見てみてはいかがでしょうか。

Best1.15日(土)、16日(日):明け方の空に金星と細い三日月が並ぶ

現在、「明けの明星」として日の出前に東の空に見える金星ですが、8月13日にもっとも高度が高くなって観測しやすくなる「西方最大離角」を迎えます。

15日(土)は三日月の下に金星がありますが、16日(日)はより細くなった三日月の斜め上に金星があり、トルコの国旗やアクセサリーのデザインのようで、いっそう幻想的な姿が楽しめそうですね。

それに、月も金星も明るい天体なので、少々明るくなっても撮影は可能。マジックアワーの中に浮かび上がる街の風景とともに、素晴らしい写真が撮れるかもしれませんよ。

Credit: 国立天文台

1位にした理由

Good!:金星と月の接近の中でも美しい、細い三日月の斜め上に金星が見られるため。また、内惑星は低い位置にあって建物の影に隠れがちだが、高度20度以上と十分に高さがある。それに、早朝だが休日なので観測しやすそう。

Bad!:早起きは夜更かしよりも苦手な人が多いかも。

以上、今月の星の見どころベスト3【2020年8月】でした。

先月の「ベスト3」実際にどう見えた? レポート

さて今回は、7月の「星の見どころベスト3」と「ネオワイズ彗星」の観測結果について、合わせてご報告します。

例年の梅雨なら、数時間は晴れ間が見える日もあるものですが、今年はほとんどなし。

毎日天気を頻繁にチェックし、ようやく19日に雲が流れる隙間を狙って、ネオワイズ彗星を写真に収めることができました

Credit: ofugutan(7月19日20時頃撮影)下に並ぶ2つの星、おおぐま座の「前足」の上に位置していた

 

Credit: ofugutan(7月19日20時頃撮影)彗星を拡大して、尾をわかりやすくしたもの

薄く雲がかかっていたこともあり、肉眼で見つけるのは無理でした。

また、夜明け前に千葉の海まで遠征して観測した人の話によると、そのときよりもかなり暗くなっているそうでした。

筆者の家からは下から彗星を探す目印になる、しし座が建物に隠れて見えなかったので、上からの目印となる北斗七星を頼りに双眼鏡で探していったところ、ぼやっとした天体を発見しました。そこで、それが見られたあたりをカメラで露出やシャッター速度を調整しながら撮影すると、ネオワイズ彗星の姿をとらえることができました。

さらに、写真で彗星の姿がわかって目が慣れると、双眼鏡でも尾があることや、尾の向きを把握することができました

なお、同時刻に多くの星のソムリエ®と、さながら「アイドルの出待ち状態」でネオワイズ彗星を待ち構えていたのですが、同じ23区内に住んでいても雲があって見られなかったり、高度が低いうえに彗星が暗すぎて見つけられなかったりと、観測に成功した人は多くなかったです。筆者も観測や撮影チャンスはわずか20分ほどだったため、観測できて幸運でした。

次は、7月の「星の見どころベスト3」の観測結果ですが、残念な結果となりました。

Best2にあげた、「金星とヒヤデス星団の接近」ですが、何日か狙える期間があったにもかかわらず、天候に恵まれませんでした。

こちらは金星と、ヒヤデス星団を構成するおうし座の1等星、アルデバランがもっとも接近する7月12日を狙ったとき。

Credit: ofugutan(7月12日3時30分頃撮影)

雲の間から一瞬だけ金星と、アルデバランが見えましたが、ポツポツと雨が降り始めていました。同時に早朝のネオワイズ彗星も探しましたが、東の方にも厚い雲がかかっていました。

また、Best1にあげた「明け方の空に全惑星が一堂に会する」も観測できる期間は長かったのに、悪天続きで無理でした。空中に惑星がある状況的に、空の全体が晴れている必要がありますしね。

木星と土星が南に昇ってきたときに少し雲が切れたので、撮影したものがこちらです。先述のとおり、2つの天体がもっとも明るくなる時期でしたが、肉眼で見ても実感することはできました。

Credit: ofugutan(7月19日21時30分頃撮影)左にあるのが土星で、右にあるのが木星

最後はBest3にあげた「みずがめ座δ(デルタ)流星群の極大」ですが、7月28日~30日なので、この記事の執筆時点ではまだ先です。筆者のいる関東では無理そうですが、九州や近畿では28日以降に梅雨明けの可能性があると言われているので、見ることができた方もいらっしゃるかもしれませんね。

今は新型コロナの第2波到来とも言われ、外出しにくくなっていますが、今回ご紹介した天文現象は、いずれも都会のベランダからでも気軽に見られます。ぜひ観測してみてください。

ふと顔を上げてきれいな星を眺めれば、心がやすらぎますし、ポジティブな気持ちに切り替えるきっかけにもなるのではないでしょうか。

星のソムリエ®が選ぶ、今月の星の見どころベスト3【2020年7月】

どうして天の川銀河が「渦巻銀河」だとわかるの?

Reference: 国立天文台(1, 2), 星空年鑑2020, AstroArts(1, 2), tenki.jp / written by ofugutan

あわせて読みたい

SHARE

TAG