人類がいなくなったら地球には何が起こる?専門家がシミュレートした結果…

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コロナ禍の中、街に野生動物が出没するという奇妙な現象が世界各地で報告されました。都市に人がいなくなったことで、山や森から動物たちが下りてきたのです。

人の活動が戻ったことで動物たちも自然に帰って行きましたが、人が完全にいなくなったらどうなるでしょうか。

もし本当に人類が絶滅するとしても、一瞬にして消えてしまうことはありません。

しかし、今ある街並みはそのままに、人間だけが跡かたもなく消えてしまうとしたら、地球には一体何が起こるでしょうか。

このSFチックな問いに、アメリカ人ジャーナリストのアラン・ワイズマン氏は、科学的知識や専門家の意見を総動員してシミュレートし、リアルな解答を出しました。

さあ、人類だけがいなくなった地球をのぞいてみましょう。

朽ちていく都会:巨大河川の誕生

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まず、人がいなくなることで最も劇的な変化が起こるのは「都会」です。

雨水やダム、地下水を管理するシステムがダウンすれば、コントロールを失った水が溢れ始めます。専門家によると、最初に都会の地下鉄が数時間ほどで浸水し、完全に水没するには36時間あれば十分とのことです。

こうして完全に制御不能になった水流は、都市の道路を支える金属構造物を腐食、崩壊させます。

その結果、都会の大通りは、巨大な河川に変貌してしまうのです。

腐敗する自然:人類が残す「負の遺産」

人類が消えた地球には、その置き土産として大量のゴミや廃棄物が残されます。

特にプラスチックは、分解されるまでに数百年かかり厄介です。ゴミが自然に分解される時間はそれぞれですが、ビニール袋で10〜20年、ゴム製の靴底で50〜80年、アルミ缶で100〜200年、ガラス製のボトルだと100万年もかかります。

これらを口にした野生生物がどうなるかは、砂浜に打ち上げられるウミガメやクジラを見れば分かるでしょう。陸に生息するミミズについてもマイクロプラスチックの影響を受けると以前記事にもしました。

また、化学工場や石油の製油所、原子力発電所が故障すれば、大規模な火災や放射能漏れが発生します。人類が残す負の遺産は、長期にわたって自然を腐蝕させるでしょう。

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しかし、この腐敗も永遠には続きません。

地中に漏れた石油や化学成分は、微生物や植物により徐々に消化されます。また、チェルノブイリの原発事故のように、現地周辺の生態系はわずか数十年で驚異的な回復を見せました。

一度壊れた生態系は、比較的短いスパンで元に戻るかもしれません。

自然の氾濫:緑に染まる街

冬になると雪が積もり、場所によっては氷が張ります。除雪や除氷をする人もいないため、道路やアスファルトには亀裂が入ります。

そこへ鳥のフンによって落とされた植物のタネが根付き、木々が育ち始めると、ひび割れが進行して、コンクリートジャングルは本物のジャングルに変わり始めます。

同じく除草作業がないので、ビルや橋は植物に覆われ、数百年のうちに灰色の都会は緑で埋まります。その中で、河川による浸食や落雷、山火事による火災で、人が建てた建造物も崩壊していくでしょう。

そして緑が増えれば、当然ながら昆虫が急速に増加します。人類の消失とともに農薬や化学物質の散布もなくなるので、その増加スピードは爆発的なものと思われます。

王者の帰還:蘇る大型生物たち

この昆虫の増殖から、それをエサにする鳥類や哺乳類も一挙に繁栄していきます。特に専門家が予測するのは、「大型生物の復活」です。

かつて恐竜以後の地球を支配したマンモスや大型のライオン、トラ、サイは、人類の繁栄とともに姿を消していきました。しかし、人がいなくなれば、大型生物が再び地球規模で復活し始めます。

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専門家によると、「もし人類が世界中に拡散していなければ、今日のアメリカ中南部はライオンやトラが、地中海地域はゾウが、北欧はサイが覇権を握っていたでしょう」と指摘します。

ただし、大型生物が生態系の覇者に返り咲くには、300万〜700万年はかかるそうです。

また、一度絶滅したマンモスの復活などは見込めませんが、それとは別に、恐竜を凌ぐ新種の巨大生物が誕生するかもしれません。

母なる大地:地球は再び自然のもとに

それでも、人類が残す遺産の中で最も大きな「地球温暖化」の影響は根強いといいます。

ワイズマン氏いわく、「人類亡き後の気候変動については予測が困難ですが、もし工業プラントの爆発や放射能の拡散、製油所の火災などが頻繁に起こるなら、熱を持った莫大な量の二酸化炭素が大気中に放出される」と予測します。

大気中の二酸化炭素は海が吸収してくれますが、それにより、多くの海洋生物が犠牲になるでしょう。また、海の吸収量にも限度があります。

もし海が限界に達し、大量の二酸化炭素が大気中に放置されるなら、温暖化は続き、極地の氷冠をさらに融解させ、永久凍土を軟化させることで、さらに多くの二酸化炭素が放たれることになります。

この悪循環が、人類がいなくても長きにわたって続くのです。

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しかし、「温暖化の悪循環も永遠には続かない」とワイズマン氏は言います。

例えば、約2億年前のジュラ紀には、大気中の二酸化炭素量が現在の5倍以上に達し、海洋の酸性度が跳ね上がって、自然は厳しい環境下に置かれました。ところが、その極限状態に適応し進化を遂げた動植物がたくさん現れたのです。

つまり、「地球の極端な環境変化にかかわらず、自然には常に生存の道を見つける力がある」とワイズマン氏は指摘します。

結局、人類がいなくなっても、地球が負った深い傷は長期にわたって消えません。しかし最後には、豊かな自然とともに息を吹き返し、母なる大地のもとへと帰っていくのです。

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