「歩ける魚」が新たに10種判明!共通点は他の魚類にはない”骨盤のカタチ”

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歩ける魚「ケイブ・エンゼルフィッシュ」の骨格/Credit: FLORIDA MUSEUM VIDEO BY ZACHARY RANDALL
reference: floridamuseum

2016年にタイで発見された「ケイブ・エンゼルフィッシュ(学名: Cryptotora thamicola)」は、陸地を歩行できる珍しい洞窟魚です。

この魚は、600種近くが知られるコイ目のタニノボリ科に属しますが、その中でも異例の存在と思われていました。

ところが、8月13日付けで『Journal of Morphology』に掲載された研究によると、歩行能力を持つタニノボリ科の魚10種が新たに特定されたとのことです。

調査の結果、これらの魚には、一般の魚には見られない特殊な骨盤の形状が確認されています。

歩ける魚10種が判明!共通点は「骨盤」

フロリダ自然史博物館、ニュージャージー工科大学ルイジアナ州立大学、タイ・Maejo大学の共同研究チームは、タニノボリ科の魚およそ30種の骨格を分析し、歩行能力に関連すると見られる骨の構造を発見しました。

それによると、ケイブ・エンゼルフィッシュを含む11種には、背骨とヒレ骨を繋ぐ非常に重厚な骨盤帯が等しく確認されています。

「ケイブ・エンゼルフィッシュ」の骨格/Credit: FLORIDA MUSEUM VIDEO BY ZACHARY RANDALL

同チームのザカリー・ランドール氏は「魚類は普通、背骨と骨盤のヒレの間に直接的な繋がりを持ちません。そのため、ケイブ・エンゼルフィッシュは唯一の例外と思われていたのです。しかし本研究から、タニノボリ科ではこの傾向が、予想以上に一般的なことが初めて示唆されました」と説明します。

「Homaloptera bilineata」というコイ目の魚/Credit: FLORIDA MUSEUM VIDEO BY ZACHARY RANDALL

また、DNA分析を用いてタニノボリ科の進化史を追跡したところ、同様の骨盤帯は、科全体の中で何度か出現していることが分かりました。

これをもとにチームは、今まで以上に正確で詳細なタニノボリ科の進化系統樹を作成しています。

ランドール氏は「歩行能力を持つ魚の特定は、最初に陸に上がった水棲生物の進化プロセスの解明にも繋がる」と指摘します。

滝の岩壁も登る「ケイブ・エンゼルフィッシュ」

その一方で、歩行能力はタニノボリ科の中でもごく少数に限られています。

過去に東南アジアに生息するタニノボリ科100種以上を調べた研究で、歩行能力の存在が判明したのはケイブ・エンゼルフィッシュだけです。

ケイブ・エンゼルフィッシュ/Credit: FLORIDA MUSEUM VIDEO BY ZACHARY RANDALL

彼らの歩行能力は、流れの急な洞窟の環境で生き延びるための「適応」と言われています。

岩肌の露出した川床をヒレでつかんで生息地を自由に移動したり、ときには滝の岩壁を登ったりもするそうです。そのおかげで、酸素が豊富で、天敵や占有者がいない安寧の地に容易に移住できます。

それでも、食べているエサなど、生態の多くのことがいまだに分かっていません。

研究チームは今後、タニノボリ科の歩行能力の起源を調査しつつ、ケイブ・エンゼルフィッシュの生態も解明していく予定です。

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