森で遊ぶ子供たちは免疫力を向上させた
実験の結果、①改装保育園で過ごした子供たちは、自然の少ない②標準型保育園で過ごした子供たちよりも、皮膚の微生物の多様性が30%以上増加し、腸内細菌にも大幅な増加が確認されました。
さらに子供たちの血液サンプルからは、抗炎症性サイトカインや制御性T細胞など、免疫系に関連する様々なタンパク質や細胞に有益な変化が表れたのです。
この免疫上の良い変化は、③自然志向型保育園の子供たちでも同様に観察されました。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの免疫学者グラハム・ルーク氏は、「この研究は、子供たちを生物多様性のある自然環境にさらすことで、本質的な制御メカニズムのいくつかが高まることを示している」と述べています。
さて、今回の実験で利用した改装保育園の改装費用は5000ユーロ(約61万円)でした。改装費用としては十分現実的な金額であり、近くに森林がなくとも比較的簡単に子供たちの免疫向上が可能だと分かりますね。
ただし、英国レディング大学のグレン・ギブソン博士はこれが重要な研究であることを認めつつも、「微生物の多様性が必ずしも重要だとは思いません。実際、高い免疫機能は多様性が低くても発生する可能性があります」と述べています。
子供たちが森で遊ぶことは免疫系に良い影響を与えますが、さらなる研究は必要でしょう。
今後研究チームは、砂場に多様な微生物を存在させて、森林や土が無い場所でも子供たちの免疫力を向上させられるかテストする予定です。