島育ちの生物は「逃げる」ことに興味ナシ?
奄美大島のような島嶼(とうしょ)環境には、群を抜いた捕食者がいないため、在来生物の多くは「逃げる」ことに関心がありません。
そのため、強力な外来種が島に侵入してくると、在来種はいとも簡単に食べられてしまうのです。
一方で、ちょっとでも逃げるのが上手ければ、生き残る確率は高くなり、その性質は世代間で受け継がれていきます。
これを受け、専門家たちは「外来捕食者にさらされた在来種は、新たな天敵に応じた逃避能力を発達させるのではないか」と考えました。
そこで白羽の矢が立ったのが、アマミハナサキガエルです。
奄美にはカエルの天敵としてヘビがいますが、ヘビは待ち伏せ型の捕食者であるため、追いかけることをしません。
そのため、カエルたちは瞬間的に逃げるだけで良かったのです。
ところが、1979年にフイリマングースが奄美大島に導入されます。
マングースは、島全体には拡大しなかったものの、導入地点の周辺で多くの在来種を減少させました。
なんと言っても、彼らは追跡型の捕食者です。
そのため、カエルたちには、長い距離を逃げ続けて身を隠すまでの持久力が必要になります。
研究チームは、その影響がカエルに現れているかを調べるべく、現地調査を開始しました。