タツノオトシゴ21種の進化系統樹
タツノオトシゴ21種の進化系統樹 / Credit: novataxa
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泳ぎベタな「タツノオトシゴ」が世界各地に広がれた理由を解明! 「海流」と「適応力」がカギ

2021.02.21 Sunday
How sessile seahorses speciated and dispersed across the world’s oceans in 25 million years https://techandsciencepost.com/news/science/how-sessile-seahorses-speciated-and-dispersed-across-the-worlds-oceans-in-25-million-years/
Genome Sequences reveal Global Dispersal Routes and Suggest Convergent Genetic Adaptations in Seahorse Evolution https://novataxa.blogspot.com/2021/02/hippocampus.html

タツノオトシゴは、小さくて泳ぎベタな生き物ですが、不思議なことに世界各地の海で見られます。

「移動力に長けていないにもかかわらず、どうして世界中に広がることができたのか。」

このナゾを解くべく、ドイツ・コンスタンツ大学の研究チームは、タツノオトシゴ21種から約360のゲノムを解析して、進化系統樹を作成。

それをもとに、世界の海への分散経路と、遺伝的変異を調べました。

その結果、「海流」による運搬と、環境への「適応力」という、2つのキーワードが浮かび上がっています。

研究は、2月17日付けで『Nature Communications』に掲載されました。

遺伝子の進化スピードが異常に速いことが判明

タツノオトシゴ属(Hippocampus)は、約2500万年前のインド太平洋域で、最も近縁のヨウジウオ(Pipefish)から派生しました。

泳ぎの得意なヨウジウオに対し、タツノオトシゴ は腹ビレと尾ビレを失くし、代わりに、海藻やサンゴをつかむのに適した尾を進化させています。

最初は大きく2つのグループに分かれました。

研究チームのラルフ・シュナイダー氏によると「一方は、生まれた場所に留まり続けたグループ、もう一方は、アフリカ・ヨーロッパ・アメリカを経由して太平洋にまで広がったグループ」とのこと。

タツノオトシゴの祖先の「ヨウジウオ」
タツノオトシゴの祖先の「ヨウジウオ」 / Credit: smithsonianmag

両グループを含む対象種から作成された今回の系統樹は、タツノオトシゴの種間関係や、分散経路について信頼性の高い結果を示しています。

まず、海流と種分布の関係を比較すると、タツノオトシゴは明らかに波に乗って各地に運ばれていました。

例えば、大しけの場合、荒波の中に投げ出された個体は、手近にある海藻や木片などにつかまり、時には数百キロの距離を流されます。

また、過去2500万年の間の大陸移動によって起きた海流の変化も、移動に大きな役割を果たしていました。

これによって、タツノオトシゴは世界各地の海に移動できたと見られます。

タツノオトシゴの系統樹と分布場所
タツノオトシゴの系統樹と分布場所 / Credit: novataxa

さらに、各生息地から20匹ずつサンプルを採捕し、同じ生息域における個体間の遺伝的変異も調べました。

すると、遺伝的なバリエーションが大きいほど、その地の個体数も多くなることが判明しています。

それから、タツノオトシゴは、海流に乗って世界中に広がっただけでなく、新しい生息地に驚くほどよく定着していました。

遺伝データを分析すると、彼らは移動の中でゲノムを大幅に改変しており、たくさんの遺伝子を失くしたり、新たに獲得しながら進化していることが分かっています。

これはつまり、タツノオトシゴが他の生物に比べて、非常に短いスパンで進化できるということです。

シュナイダー氏は「こうした海流の力遺伝的変化の速さ、それによる適応力の高さが、広いエリアでの繁栄を可能にしたのでしょう」と結論しています。

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