バジルに含まれる天然化合物にアルツハイマー予防の効果が見つかる
バジルに含まれる天然化合物にアルツハイマー予防の効果が見つかる / Credit: jp.depositphotos
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バジルの天然化合物に「アルツハイマーの予防効果」があった

2021.10.09 Saturday

アルツハイマー型認知症は、脳神経の変性が原因で起こる疾患であり、記憶力や思考力といった認知機能の低下を特徴とします。

認知症の中で最も多い疾患であるものの、これを完全に治癒する薬はまだ存在しません。

サウスフロリダ大学(University of South Florida・米)の研究チームはこのほど、バジルに含まれる天然化合物「フェンコール」に、アルツハイマーへの有益な予防効果があることを特定しました。

アルツハイマー発症の主な原因は、有害物質である「アミロイドベータ(Aβ)」の脳内蓄積ですが、フェンコールにはこれを減少させる作用があったとのことです。

研究は、10月5日付けで学術誌『Frontiers in Aging Neuroscience』に掲載されています。

Natural Compound in Basil May Protect Against Alzheimer’s Disease https://scitechdaily.com/natural-compound-in-basil-may-protect-against-alzheimers-disease/
Activation of Microbiota Sensing – Free Fatty Acid Receptor 2 Signaling Ameliorates Amyloid-β Induced Neurotoxicity by Modulating Proteolysis-Senescence Axis https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnagi.2021.735933/full

発症原因となる「アミロイドベータの蓄積」を減らすには?

まず、アルツハイマー型認知症はいかにして起こり、患者にはどんな特徴が見られるのでしょうか。

アルツハイマーの主な病態の1つは、内にアミロイドベータが蓄積し、神経細胞(ニューロン)の間に付着して固まり、アミロイド斑を形成することです。

これが神経細胞の減少や死を引き起こし、脳の一部を萎縮させて、最終的に認知症状を発症させます。

そして、高齢者のアルツハイマー型認知症患者では、有益な腸内細菌が産生する代謝物である短鎖脂肪酸(SCFA)」の減少がよく見られます。

一方で、SCFAの減少がアルツハイマー病の進行にどう関係しているかは、あまり分かっていません。

ただし、SCFAは血流を介して腸から脳に到達し、脳の神経細胞で発現しているシグナル分子の「遊離脂肪酸受容体2(FFAR2)」に結合して、活性化することが知られています。

アルツハイマーを予防するには「アミロイドベータ」を減らす必要がある
アルツハイマーを予防するには「アミロイドベータ」を減らす必要がある / Credit: jp.depositphotos

研究チームは今回、このFFAR2の知られざる機能について詳しく調査しました。

実験で、FFAR2を阻害(=神経細胞外の環境でSCFAを「感知」し、細胞内でシグナル伝達する能力を阻害)したところ、アルツハイマーの主原因となるアミロイドベータの異常蓄積を起こすことが示されたのです。

それと同時に、SCFAが受容体のFFAR2と結合して活性化することで、アミロイドベータの蓄積と、それに伴う神経細胞死が減少することが明らかになりました。

つまり、SCFAとFFAR2の相互作用には、アルツハイマーに対する予防効果があるということです。

しかし、問題点があります。

というのも、SCFAは、血液循環によって脳に到達する前に、腸やその他の器官によってほとんど消化されてしまうのです。

アルツハイマーを予防するには、SCFAの代わりに、FFAR2と結合でき化合物を見つけなければなりません。

そこでチームは、14万4000種以上の天然化合物を対象とした大規模なバーチャルスクリーニングを行い、SCFAと同じ能力を持つ候補を探しました。

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