死姦を起こす媚薬は単一成分ではない
![人間にとっては天然のハエ取り装置である](https://nazology.net/wp-content/uploads/2021/11/b5c52a2ea7dc9809dca3c4c539c4d6fe-900x506.jpg)
今回の研究により、真菌E. muscaeがハエのメスをゾンビ化させて殺害し、オスに死姦させるメカニズムが解明されました。
E. muscaeはメスの死体を材料にオスを誘惑する化学物質を合成し、オスに死姦させることで胞子の拡散を手伝わせ、最終的にはオスも殺して新たな苗床にしていたのです。
また化学分析によりE. muscaeによって分泌される化学物質は長距離用の揮発性化合物(セスキテルペンなど)と短距離用のクチクラ炭化水素(メチル分枝アルカンなど)にわかれて、効率よくターゲットを引き込んでいることがわかりました。
つまりE. muscaeの放つ媚薬は単一成分ではなく複合材料から構成されていたのです。
研究者たちはE. muscaeが合成する化学物質を解明することで、昆虫の行動を操作できる薬品を開発できると考えています。
人間にとっては害虫でしかないハエも、ゾンビ化や死姦を強制されていると思うと、少し哀れに思えてしまいますね。