植物にエタノールを投与すると高温耐性がつく
植物にエタノールを投与すると高温耐性がつく / Credit:関 原明(理研)_エタノールが植物の高温耐性を高めることを発見-農作物を高温に強くする肥料や技術の開発に期待-(2022)
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レタスにお酒を与えると高温耐性がつくと判明! 温暖化に強い作物が作れるかも

2022.06.24 Friday

エタノールが植物の高温耐性を高めることを発見 -農作物を高温に強くする肥料や技術の開発に期待- https://www.riken.jp/press/2022/20220622_1/index.html
Ethanol induces heat tolerance in plants by stimulating unfolded protein response https://link.springer.com/article/10.1007/s11103-022-01291-8

世界人口の増加に伴い、食料は今後ますます必要になってきます。

しかし地球温暖化や熱波などの異常気象の増加により、作物の生産が難しくなっています。

人類はこの問題に対処できるでしょうか?

理化学研究所(理研)に所属する関 原明(せき もとあき)氏ら研究チームは、エタノールが植物の高温耐性を高めることを発見しました。

レタスもお酒を与えるとストレス耐性が高まり、高温でも元気に育ったのです

研究の詳細は、2022年6月22日付の科学誌『Plant Molecular Biology』に掲載されました。

エタノールを投与すると植物に高温耐性がつく

関氏ら研究チームは、以前から植物の耐性を高めるための研究を行ってきました。

実際、2017年の研究では、植物が被る塩害に対して、高い耐性を持たせることに成功しています。

その方法はシンプルで、「植物にエタノールを投与する」というものでした。

お酒の主成分である「エタノール」を投与すると、植物のストレス耐性が向上する。※イメージ画像
お酒の主成分である「エタノール」を投与すると、植物のストレス耐性が向上する。※イメージ画像 / Credit:Depositphotos

エタノールはアルコールの一種であり、私たちが飲むお酒の主成分でもあります。

つまりお酒を与えることで植物の塩耐性が高まったのです。

ちなみにエタノールには安価で入手しやすいというメリットがあるため、作物の耐性を高める将来有望な材料だと言えます。

では、同様の方法で、他の耐性も高めることができるのでしょうか?

今回研究チームは、エタノールを植物に投与することで、高温耐性が高まるか実験しました。

ポットに植えられたシロイヌナズナ(モデル植物としてよく利用される)とレタスを、エタノール水溶液が入ったトレーに3日間置くという方法で、エタノールを投与したのです。

(A)シロイヌナズナへのエタノール投与。生き延びる個体が増えた。, (B)レタスへのエタノール投与。生育が良好になった。
(A)シロイヌナズナへのエタノール投与。生き延びる個体が増えた。, (B)レタスへのエタノール投与。生育が良好になった。 / Credit:関 原明(理研)_エタノールが植物の高温耐性を高めることを発見-農作物を高温に強くする肥料や技術の開発に期待-(2022)

その結果、50℃という環境下で、植物の生存率が上昇しました。

つまりお酒を与えることによって、植物の高温ストレス耐性も向上していたのです。

写真を見るとエタノール処理の有無で、シロイヌナズナの生存率やレタスの生育の程度が大きく異なると分かります。

では、どうしてエタノールを投与することで、植物の高温耐性が向上したのでしょうか?

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