ゾウの鼻は均等に伸びていなかった!
ゾウの鼻は均等に伸びていなかった! / Credit: A. SCHULZ, ADAM THOMPSON/ZOO ATLANTA – Science News
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Skin folds give elephant trunks more flexibility https://www.earth.com/news/skin-folds-give-elephant-trunks-more-flexibility/ The top side of an elephant’s trunk stretches more than the bottom https://www.sciencenews.org/article/elephant-trunk-skin-stretch-top-bottom
Skin wrinkles and folds enable asymmetric stretch in the elephant trunk https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.2122563119

2022.07.21 Thursday

実はあまり研究が進んでいないゾウの鼻のメカニズムに進展! 優先的に伸びやすい箇所がある

ゾウの鼻には、何万種類もの筋肉があり、その一つ一つが連動して、複雑な動きを可能にしています。

たとえば、地面から小さなリンゴを拾い上げたり、筆をもって絵を描いたり、あるいは、大木から樹皮を剥ぎ取るといったダイナミックな動きまで、様々です。

しかし、意外かもしれませんが、ゾウの鼻のメカニズムに関する研究は、前世紀からあまり進んでいません。

そこで米ジョージア工科大学(GATech)の研究チームは、アトランタ動物園(Zoo Atlanta)と協力し、ゾウの鼻の伸縮運動について調査を開始。

その結果、事前の予想に反して、ゾウの鼻は、先端から根元、上側から下側にいたるまで、”一様には伸びない”ことが判明しました。

ゾウの鼻は、全体が均等に伸びるのではなく、先端から優先的に伸び始め、また、上側の皮膚の方が下側の皮膚よりも長く伸びていたのです。

研究の詳細は、2022年7月18日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されています。

ゾウの鼻は均等には伸びていなかった!

研究チームは今回、アトランタ動物園で飼育されている2頭のアフリカゾウを対象に調査。

まず、鼻だけ出せる柵を用いてゾウを仕切り、柵の向こう側には好物となるエサを台上に置きます。

その後、ゾウが柵の穴から鼻を伸ばして、エサをつかみ取る様子を高速度カメラで撮影しました。

そして映像を分析した結果、ゾウの鼻は先端から根元まで一様には伸びないことがわかったのです。

まず第一に、鼻の上側の皮膚の方が、下側の皮膚よりも伸縮性に富んでいました。

鼻の上側の方が下側の皮膚よりも伸びやすい
鼻の上側の方が下側の皮膚よりも伸びやすい / Credit: A. SCHULZ, ADAM THOMPSON/ZOO ATLANTA – Science News

この動きの違いは、ゾウが鼻を体長の10%以上伸ばすときにあらわれます。

チームは、この違いを理解するべく、亡くなったゾウの鼻を解剖し、上下の皮膚を詳しく調べました。

すると、下側の皮膚は浅いシワが寄っているだけなのに対し、上側の皮膚は、先端から根元にかけて、深い折りたたみ状のヒダが密に並んでいたのです。

これにより、上側の皮膚は、下側の皮膚より15%以上も長く伸びることが可能となっていました。

第二に、ゾウの鼻は、全体が均等に伸びるのではなく、先端の方から先に伸び始め、根元に近づくほどあまり伸びないことが判明しています。

下の15秒ほどの動画をご覧ください。

緑のマークが伸び始め前の鼻の位置、赤いマークが伸びている最中の鼻の位置を示します。

これを見ると、先端の方ほどより長く伸びており、根元の方はそれほど伸びていないことがわかります。

この結果について、研究主任のアンドリュー・シュルツ(Andrew Schulz)氏は、次のように話します。

「ゾウは人間と同じように怠け者の一面があり、できる限り楽をしようとします。

ゾウの鼻は先端部に約1リットルの筋肉が、口元に近い部分には約11〜15リットルの筋肉が詰まっています。

鼻の先端部を伸ばして、根元をそれほど動かさないのは、(使う筋肉が少ないので)動かすのが楽だからだと考えられます」

筋肉量の少ない先端から伸ばし始めていた
筋肉量の少ない先端から伸ばし始めていた / Credit: canva

機械工学者でもあるシュルツ氏は、ゾウへの理解を深めるだけでなく、この知見をソフトロボットの分野にも応用することを考えています。

現在のソフトロボットの大半は、「柔軟性」か「頑丈性」のどちらかに特化して作られており、両方を兼ね備えているものはほとんどありません。

一方でゾウの鼻は、柔軟で複雑な動きができながら、分厚い皮膚や筋肉など、頑丈さも備えています。

こうしたゾウの鼻の特性を活かすことができれば、頑丈かつ器用な動きができるニュータイプのロボットアームが作れるかもしれません。

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