2024.07.05 Friday
切断手術で仲間の命を救えるのは、もはや人間だけではありません。
このほど、スイス・ローザンヌ大学（University of Lausanne）らの研究で、フロリダ原産のアリがケガを負った仲間の脚に切断オペを施すことで、感染症を予防することが判明したのです。
ケガを放置した場合、アリの生存率は40%だったのに対し、仲間から切断処置を受けたアリの生存率は90〜95%まで跳ね上がっていました。
治療として負傷部位の切断処置ができる生物はヒト以外で初めてとのことです。
研究の詳細は2024年7月2日付で科学雑誌『Current Biology』に掲載されています。
目次
自然界で生き残る上で、傷口の処置は欠かせません。
もし傷口から細菌が侵入してしまうと、感染症を起こして死にいたるリスクが高まるからです。
特にアリは近くにいる別のグループとしょっちゅう喧嘩するので、ケガをしやすい状態にあります。
我々人間も同様ですが、感染症は社会性の高い生物にとって致命的な問題です。
では、アリたちは感染症を防ぐためにどんな傷口の手当てをするのでしょうか。
2023年の研究では、アフリカ大陸に分布する「マタベレアリ（学名：Megaponera analis）」が、体内にある特殊な腺から抗菌化合物を分泌して、仲間を治療できることが判明しました。
つまり、自分たちで消毒液を作り出して、感染症を予防することが可能なのです。
しかし、こうした抗菌薬を分泌する腺はすべてのアリに備わっているわけではありません。
では、そうした腺を持たないアリたちはどうするのでしょう？
そこで研究チームは「フロリダオオアリ（学名：Camponotus floridanus）」を対象に調査を開始しました。
カテゴリー覧
人気記事ランキング
Amazonお買い得品ランキング
昆虫のニュースinsect news
もっと見る
大陸間移動する蝶を発見！大西洋4200キロを昆虫がどうやって横断するのか？
バッタを「3倍の重力環境」で育てたら外骨格がパワーアップ！ただし5倍以上だと…
古代の蚊はオスも血を吸ってた⁈ 蚊の吸血能力進化の謎
生存戦略に素数を取り込んだ「素数セミ」の羽化周期が重なり今年”1兆匹”が一斉羽化する！
虫の羽はエラから進化した？古代の羽を持つ水生昆虫の化石が見つかる
注目の科学ニュースpick up !!
「ゴキブリではありません」三葉虫やっぱりキモかった！
「ママしかおっぱいが出ない理由」を数学的に証明することに成功！
机や椅子がありません！古代エジプト人「過酷なデスクワーク」で関節が変形するほど苦しんでいた
