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猫が本当は社交的なことが判明。重要なのは「選択」できる自由

2021.01.27 Wednesday

2019.01.23 Wednesday

Point
■家庭やシェルターで暮らす猫の多くが、社交性が高く、人との交流を強く求めていることが判明
■猫にとって重要なのは、交流するかどうかを自分で選べること
■猫も人と同じように、個体レベルで性格が異なる

愛嬌たっぷりに飼い主にしっぽを振る犬に対し、猫は社交性の低い「気むずかし屋さん」だと思われがちです。

ところが、最近の研究で、実はそうでもないことが明らかになりました。ペットとして飼われている猫やシェルターで保護されている猫の多くが、人、とりわけ撫でてくれる人との交流を強く求めていることが分かったのです。

研究を行ったのは、オレゴン州立大学で動物の行動を研究するチーム。論文は、2019年1月号の「Behavioral Processes」に掲載されました。

The quality of being sociable: The influence of human attentional state, population, and human familiarity on domestic cat sociability
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0376635718300998?via%3Dihub

これは、実際に長い時間を猫と過ごす人にとってはそう驚くことではないかもしれません。中には、まるで小型犬のように人懐っこい猫もいます。ですが、猫がこれほど人気があるにもかかわらず、猫と人との社会的関わりにおける研究があまり無かったことを踏まえれば、注目度が高い研究です。この種の研究が行われて来なかった要因の一つには、「猫は非社交的だ」という共通の誤解にあるのかもしれません。

人間の注意がどこに向かっているかで行動が変化?

研究チームは、2つの実験を実施。まずは、半数がシェルターに住み、半数が家庭で飼われている46匹の猫を、見知らぬ人と同じ部屋に置く実験を行いました。人は床に座った状態で過ごしますが、最初の2分間は猫をできるだけ無視します。次の2分間は猫の名前を呼んだり、猫が自分から近づいて来た時は自由に撫でたりすることができます。

次の実験では、ペットとして飼われている猫だけが対象でした。猫を飼い主と同じ部屋に入れて、1つ目の実験と同じ順序で飼い主と交流させました。

その結果、どちらの場合でも、猫が人から注意を向けられると、そうでない時よりもずっと多くの時間を人の近くで過ごすことが明らかになりました。

これらの実験のミソは、「猫主体」の設計になっていることです。猫は、興味を駆り立てられる対象物との交流に夢中になる傾向が強いことが、これまでも示唆されてきました。後半の2分間でさえ、あくまでも主体は猫。人の側に近寄るかどうかは猫自身が選択します。交流するかどうかを自分で選べることが、猫にとっては何よりも大切。まさに「自由の動物」なのです。

シェルターに住む猫は、ペットとして飼育されている猫と比べて、自分に注意を払わない人々との交流にずっと長い時間を費やします。このため、ペットの猫よりも人の注意が関係している可能性があります。

とはいえ、2つのグループの違いを深読みし過ぎるのは考えものだと、ブリストル大学の生物学者ジョン・ブラッドショー氏は説明しています。本来、猫は縄張り意識が強い動物であり、自分がいる場所を知っているかどうかによって、行動が大きく異なります。

重要なのは、猫も人と同じように、個体レベルで性格が異なるということ。ツンとすましたタイプもいれば、フレンドリーなタイプもいて当然なのです。「犬は社交的、猫は非社交的」というレッテルを外せば、どちらにも実に多様な性格の違いが存在することが分かるでしょう。

一見すると気難しそうな猫に出会ったら、まずはこちらから働きかけてみましょう。そして、交流の主体はあくまでも猫の側にあることを念頭に接してあげてくださいね。

「猫の目」はなぜ特別なのか?

reference: sciencealert / translated & text by まりえってぃ

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